大気中の水分量(水蒸気量)表現方法はいろいろあるので、別個に覚えるより1つの関連図を頭に入れて理解するのがいいと思い、この記事を書きました。
似たような記事を前にも書きましたが、今回のイメージ図を使えば、より直感的に覚えられるのではないかと思っています。
これから6つの水分量表現方法を順に追っていって全てを網羅した全体図に組み合わせていきます。
以前に書いた記事と重複する内容は簡単な説明で済ましているので、関連するこちらの記事もご覧ください。計算式などもこちらの記事に載せてあります。
◎ 「混合比、露点温度、飽和の関係をまとめました(水分量の表現4)」
1.水分量表現の基本
初めに、この記事で取り上げる6つの表現方法の中で最も基本となる3つを整理します。
イメージ図「水分量表現の基本」を見てください。左上から説明します。
基本となる水分量表現を質量、力、比率の3つの要素に分類しました。
◆ 質量(左上)
丸の範囲にとれだけの量の水蒸気が含まれているかを g または kg で表します。まさに水蒸気量そのものです。これはあまり実用的ではないので普通は使われないと思います。
◆ 水蒸気密度(左下)
1㎥の空気中に何グラムの水蒸気が含まれているかで表現します。
◆ 水蒸気圧(中央)
密度で表現する代わりに圧力、つまり気圧で表現します。
水蒸気圧は空気全体の気圧の中の分圧(1つの気体分子だけの圧力)となります。
水蒸気の分子が多いほど水蒸気圧が大きくなるので、水蒸気密度と同じように扱うことができます。
◆ 混合比(右)
混合比は水蒸気と乾燥空気の量を比較して出します。比湿は水蒸気と湿潤空気(乾燥空気と水蒸気を合わせたもの)を比較して出します。
2.❶水蒸気密度・❷水蒸気圧・❸混合比の関係
「水分量表現関連図(1)」を見てください。
6つの水分量表現方法のうち3つを1~3の数字で示しました。先ほど説明したように質量だけで示すのは実用的ではないので0にしました。
混合比について説明します。
混合比と比湿の計算上の違いは、混合比は分母を乾燥空気の量とするのに対し、比湿は湿潤空気とする点です。
ただ、数値はほとんど変わらないので、これからは混合比だけを取り上げます。
混合比の基本は水蒸気質量と乾燥空気質量の比です。水蒸気密度と乾燥空気密度の比としても同じです。
混合比は水蒸気圧と気圧(湿潤空気の気圧)の比によって出すこともできます。この場合、次の計算式を用います。
W:混合比 e : 水蒸気圧 P:気圧
$\color{blue}W=0.622×\Large{\frac{e}{P}}$
3.❹相対湿度
「水分量表現関連図(2)」をご覧ください。
相対湿度は天気予報で出てくる湿度のことで、水蒸気密度、水蒸気圧、どちらからも導き出すことができます。
ここで必要になるのが、飽和という状態です。飽和は空気が水蒸気を限界まで含んだ状態のことです。
飽和は温度に依存しています。
水蒸気密度と飽和水蒸気密度の比、あるいは水蒸気圧と飽和水蒸気圧の比によって求めます。
4.❺露点温度と❻湿数
「水分量表現関連図(3)」をご覧ください。
4-1. 露点温度
露点温度とは、圧力一定の下で未飽和の湿潤空気の温度を下降させて水蒸気が凝結を始めるとき(飽和に達するとき)の温度です。
露点温度は以下の時の温度といえます。飽和混合比は飽和しているときの混合比です。
◆ 水蒸気密度と飽和水蒸気圧密度が等しくなるとき
◆ 混合比と飽和混合比が等しくなるとき
◆ 相対湿度が100%のとき
◆ 水蒸気圧と飽和水蒸気圧が等しくなるとき
4-2. 湿数
湿数は気温と露点温度の差で、気温から露点温度を引いて出します。湿数が小さいほど空気が湿っていることになります。
5.まとめ
以上6つの水分量表現は大きく4つの要素に分類できます。
■ 質量(質量・密度)⇒ 水蒸気密度
■ 圧力(気圧)⇒ 水蒸気圧
■ 比率 ⇒ 混合比・比湿・相対湿度
■ 温度 ⇒ 露点温度・湿数
※ 飽和(温度に依存)
最後に「水分量表現関連図(4)」をご覧ください。これまでの6つの表現方法を1つの図にまとめてみました。
これで完璧?だといいですね。