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空気は流体、気圧減率<気圧とは気柱の重さか分子の衝突か>No.4

気柱の重さとしての気圧と、分子の衝突のエネルギーによる気圧とを結びつけるもの、それは気体が流体であるということです。

1.流体とは何か

気体や液体のように,少しの力を加えると容易に変形する物質を一般に流体という。』(ブリタニカ国際大百科事典)

空気も流体です。では、大気の柱を考えた場合、流体である空気はどのような変化をするでしょうか?イメージ図をご覧ください。

2.固体のような段階 ❶

◆ 長方形は気柱より幅の広い空気の柱とします。高度により3つのブロックに分けます。

◆ 一つ一つの黄色い丸は一定数の空気の集まりと考えてください。イメージなので、実際にどれくらいということは考えません。

◆ ❶を見てください。高度は違っても各ブロックの丸の数はどれも8個で変わりません。密度も同じです。

◆ 空気分子の重さにより気圧が決まります。丸の数を気圧とします(実際の気圧の数値ではありません)。

◆ すると一番上のブロックの底にかかる気圧は8、真ん中のブロックでは、上のブロックの8個と真ん中のブロック8個の数が合わさって16、同様にして一番下のブロックの気圧は24となります。

◆ これは固体の場合と同じです。積み木を3つ重ねたようなものです。

3.流体なので ❷

◆ 空気には重力がかかります。空気は流体なので、空気分子は全体に下に沈みこもうとします。

◆ すると、上のブロックの空気は少なくなり、下のブロックの空気が多くなります。

◆ つまり、高さが低くなるほど密度が大きくなります。

◆ 高度別の気圧の数値は上から4,12,24となります。

4.空気分子の密度と衝突 ❸

◆ 流体の特徴の一つに上下左右どの面にも同じ大きさの圧力がかかるというのがあります。

この点をブリタニカ国際大百科事典では次のように説明しています。

流体が静止しているときには,その中の任意の面に対して流体が及ぼす力は,常に面に垂直であり,かつ力の大きさは面の方向には依存しない。この力を圧力という。

◆ 気体はバラバラの方向に飛び回っているので分子同士が衝突して速さや方向が変わり、結果周囲のあらゆる面に同じように分子がぶつかることになります。

◆ さらに密度が大きいほど分子が周りの面に衝突する回数が増えます。

5.分子の衝突による気圧 ❹

◆ 空気分子の衝突の回数を圧力、つまり気圧と考えるなら、図のように高度が低いほど気圧が高くなります。

つまり、高度が高いほど気圧が低く、高度が低いほど気圧が高いというのは、空気の重さによる気圧と空気分子の衝突による気圧の両方が関係しているとみなすことができます。

◆ このようにして、気圧は気柱の重さであり、流体の性質を介して空気分子の衝突という要素も持っているという結論が導き出されました。

◆ あるいは別の観点でいうと、気圧を含む圧力というものは力の種類を問わないということに尽きるかもしれません。

圧力は単位面積当たりの力の強さですが、その「力」はどんな力であっても構わないのかもしれません。

重力(つまり万有引力)であろうと分子の衝突による力であろうと構わないということです。

固体の場合も、重さによる圧力もあれば磁石のようにS極とN極が引き合う力によって生じる圧力もあるというのと同じです。

◆ 以上が気圧について気柱の重さという観点、分子の衝突によるエネルギーという観点、両方を関連付けた説明となっています。

前にもお断りしましたが、これらの説明は私個人の考察によるものなので、間違いがあるかもしれません。理解が進めば修正していきます。ご了承ください。

6.流体ゆえ静力学平衡と気体の状態方程式が成り立つ

6-1. 気体の状態方程式

図には空気塊が描かれています。

空気塊の中の気圧と周辺大気の気圧は、空気塊の温度や密度などが変化しない限り同じになります。

また、周辺大気から空気塊に働く気圧と、空気塊から周辺大気に働く気圧も同じになります。

これも流体の性質によるものです。

また、空気塊でなければならないということではありませんが、気体の状態方程式が成り立つのにも気体が流体(当たり前ですが)である必要があります。

6-2. 静力学平衡

静力学平衡(静水圧平衡)が成り立つには下から上へ働く気圧傾度力がなければなりません。

空気が流体だからこそ成り立つわけです。

静力学平衡は重力と気圧傾度力がつり合った状態です。

空気の柱(気柱のようなもの)をイメージして、どのようなプロセスで二つの力がつり合うのか考えてみました。実際の大気がこういう段階を取るということではなく、理論上の仕組みとして見てください。

◆ 左(または上)の図の左側のブロックでは高度が変化しても空気の量(黄色の丸の合計数)が変わりません。

この状態だと気圧傾度力は働かず重力だけが働き空気は全体に沈み込んでいきます。

空気が沈み込むに連れて気圧傾度力が生じてきます。

グラフでは重力の線(濃い青)が右に下がるに連れて気圧傾度力の線(橙色)が大きくなっていきます。

◆ 図の右側のブロックでは逆に空気はほとんど低い高度に集まっています。

この状態だと重力は働かず気圧傾度力だけが働き空気は上昇していきます。

空気が上昇するに連れて重力が生じてきます。

グラフでは気圧傾度力の線が左方向に下がるに連れて重力の線が左方向に大きくなっていきます。

◆ 2つの線の交わったところで重力と気圧傾度力がつり合い、この状態が静力学平衡となります。

7.大気の気圧減率

気圧は空気の重さのことなので、上空にいくほど重さは軽くなり気圧が下がります。

それで、どれくらい高度が上がれば気圧はどれくらい下がるかということをイメージ図にしました。

高度のスケールによって気圧が減少する割合は変わってきます。

◆ 図の右側を見てください。10mで気圧は1.2hPa下がります。マンションの4回に住む人がベランダに立つと地面より1.2hPaくらい気圧が低いという感じでしょうか。

一般向けの解説では10mで1hPa下がるというのが多いようです。

◆ 図の真ん中にあるように、ほぼ対流圏では高度が5km上がると気圧は1/2になります。

ちなみに富士山頂の気圧は平均して640hPaだそうです。

◆ 図の左側にあるように、もっと大きなスケールでは高度が16km上がるごとに気圧は1/10になります。

8.まとめ

Q 気圧は気柱の重さか分子の衝突か

 A 気圧は気柱の重さであり、流体の性質を介して空気分子の衝突という要素も持っている