大気中の水分量(水蒸気量)の表し方には幾つかあります。分類のカギとなる要素は 質量・圧力、飽和、比率、温度です。
単位としては g/m3 , hPa , %,℃ 等があります。
前回までで水の3態や潜熱について学びましたが、特に気象に関わって来るのは大気中にどれだけ水蒸気が含まれているかです。
その、どれだけ を表現する方法は結構たくさんあります。それぞれの詳しい説明は別の記事に回しますが、今回はそれぞれの表現方法を要素別に箇条書きしてみました。図も一緒に見てください。飽和については記事の最後の方に出てきます。
1.要素別表現方法と単位
1-1 質量
◎ 水蒸気量( g またはkg )
◎ 水蒸気密度( g/m3 )
◎ 飽和水蒸気密度( g/m3 )
◎ 相対湿度(%)
◎ 絶対湿度( g/m3 )
1-2 圧力
◎ 水蒸気圧( hPa )
◎ 飽和水蒸気圧( hPa )
1-3 比率
◎ 混合比(g/kg)
◎ 飽和混合比(g/kg)
◎ 比湿(g/kg)
◎ 飽和比湿(g/kg)
1-4 温度
◎ 露点温度(℃)
◎ 湿数(℃)
2.補足説明
2-1 質量
◎ 水蒸気量( g またはkg )・・ 純粋に水蒸気分子の合計質量。これが基本ですね。
◎ 水蒸気密度( g/m3 )・・ 1立方メートルあたりの水蒸気の質量です。
ここからは 単なる水蒸気量ではなく密度( g/m3 ) 、kg ではなく g の方を使います。
◎ 飽和水蒸気密度・・ 空気が飽和状態に達した時の水蒸気密度です。
◎ 相対湿度・・ 天気予報で言う湿度です。空気の湿り気具合を表現します。
◎ 絶対湿度・・ 1m3 の空気の中に含まれる水蒸気量です。これって水蒸気密度と同じってこと?
2-2 圧力
水蒸気の量が増える、つまり水蒸気の分子が増えると水蒸気の圧力も高くなるので、水蒸気量と水蒸気圧は同じようなニュアンスで使われています。
◎ 水蒸気圧(水蒸気分圧)・・ 大気を構成する成分気体の内、水蒸気だけの圧力を指します。
◎ 飽和水蒸気圧・・ 空気が飽和状態に達した時の水蒸気圧です。
2-3 比率
◎ 混合比・・ 湿潤空気に含まれる水蒸気質量と乾燥空気質量の比です。
◎ 飽和混合比・・ 空気が飽和状態に達した時の混合比です。
◎ 比湿・・ 湿潤空気に含まれる水蒸気質量と湿潤空気質量の比です。
◎ 飽和比湿・・ 空気が飽和状態に達した時の比湿です。
混合比と比湿は混同しやすいので別記事で改めて説明します。
2-4 温度
◎ 露点温度・・
圧力を変えないまま、まだ飽和していない湿潤空気の温度を下げていって水蒸気が凝結を始める時の温度をいいます。
冬に窓が結露し始めた時の温度ですね。
◎ 湿数・・ 気温と露点温度の差です。単位は付けないことが多いようです。
3.飽和
飽和とは・・ 「空気が含みうる水蒸気の限界量。湿度100%の状態。」(気象学のキホンがよ~くわかる本)
実際の大気中では限界を超えた量の水蒸気が含まれる状態(過飽和)があり、雲の発生に大きく関わっています。
過去の記事も参考にしてください。 ⇒ 「雲の発生11」
以上、ごく簡単に扱いましたが、水蒸気の表現方法は相互に関わり合っているので、さらに取り上げて考えます。