文系初心者にとって最も厄介なのが、物理学の様々な単位です。m や hPa くらいなら馴染みがありますが、 j (ジュール)N (ニュートン)さらにはローマ字じゃない ρ (ロー)なんかに接すると物理アレルギーが出てしまいます。
そこで、本格的に熱力学に入る前に主な物理量と単位を整理してまとめてみました。
目次
1.ディメンション(次元)
次元(ディメンション)とは、『ある物理量が長さL,時間T,質量Mなどの基本的な物理量とどのように関係するかを示す構造。(百科事典マイペディア)』です。
気象学に関係する次元には次の5つがあります。
次元 | 記号 |
長さ | L |
質量 | M |
時間 | T |
温度 | θ |
物質量 | N |
また次元を持っていない物理量を無次元量と言い、角度は無次元量になります。
上の図はそれぞれのディメンションをイメージしたものです。
このうち長さ、質量、時間は特に基本的なもので3つの円で表現しています。また、3つの円が重なり合ったところに位置する物理量も多くあります。
2.表の説明
これから各種の次元と物理量について表を使って説明していきます。
表の右側の3種類の単位についてですが、「単位」は普通に使われているもので、長さでいえば mm,cm,m,km 等があります。
右側の「組立単位」と「基本単位」は国際単位系から来ているものです。あまり深入りする必要はないかと思うので、記事の最後に調べた内容を書いておきます。
3.L : 長さ(m)
長さについては単位の代表として m (メートル)を使います。
3-1. 長さ(距離)・・ m で表現できます。次元は L 、記号は L、S 等です。
3-2. 面積・・面積は 縦(m) × 横(m) ですから単位は m2 で、次元も L × L で L2 です。A という記号で表します。
3-3. 体積・・面積と同様の考え方で、単位は m3 、次元は L3 、記号は V です。
4.M : 質量 (kg)
式はMまたはm、単位の代表は kg です。
5.密度・比容
密度と比容は冒頭の図の L の円とと M の円が重なり合っている部分に入ります。
5-1. 密度
密度は単位体積当たりの質量です。
記号と式で表現すると、密度 ρ(ロー)は単位体積 V 当たりの質量 M なので
ρ = M / V となります。
また、長さのところで学んだように体積は次元では L3 、単位では m3 なので、
密度を次元で表すと M / L3 = ML–3
単位で表すと kg / m3 = kg・m-3 になります。
5-2. 比容
比容は密度とは逆で、単位質量当たりの体積をいいます。
比容の記号は α(アルファ)で記号と式、次元、単位における表現方法は表の通りです。
6.T : 時間(s)
記号は t 。単位 s (sec) は秒、min は分、h(hour) は時間を表します。
代表的な単位は s です。
7.速度と加速度
速度と加速度は冒頭の図の L の円とと T の円が重なり合っている部分に入ります。
7-1. 速度
速度=移動距離÷移動時間
なので式で表すと
v = Δx / Δ t
となり、単位は
m/s = m・s-1
これは1秒間に何メートル移動するかを意味しています。風でいえば「風速50メートル」とかですね。
7-2. 加速度
加速度とは速度の変化する割合で、
加速度=速度の変化量÷経過時間
ですから、式では
α = Δv / Δt
単位は m・s-2
代表的な加速度の単位として 重力加速度 9.81m/s-2 があります。
※ 図表ではα(アルファ)の文字になっていますが、a(エー)です。うまく変換できないので、こうしました。
8.長さ、質量、時間の円が重なったところ
ここには力、運動量、圧力などが含まれています。内容が多いので次回に回します。
9.θ:温度(K)
9-1. 絶対温度
理論上物体の熱運動が完全にストップする温度を 0K(絶対零度)としています。
ケルビン温度とも言われ、記号はT、単位は ケルビン(K) です。
9-2. 摂氏温度
摂氏温度は1気圧という条件の下で、水が氷になる温度を0℃、水が沸騰する温度を100℃としています。
記号は t 、単位は℃です。
絶対温度と摂氏温度関係は
T = t + 273 です。
9-3. 華氏温度
氷と食塩を混ぜたものの最低気温を0度、健康な人間の体温を96度としたもので、アメリカやイギリスでよく使われています。
単位は ℉ で、摂氏温度Cとの関係は以下の通りです。
F = 9/5 C + 32
10.N : 物質量
物質量についてはこちらの記事をご覧ください。
11.角度
角度は無次元です。こちらの記事を参照してください。
※ 国際単位系とは・・
国際単位系 (SI) は、メートル条約に基づきメートル法のなかで広く使用されていたMKS単位系(長さの単位にメートル m、質量の単位にキログラム kg、時間の単位に秒 s を用い、この 3 つの単位の組み合わせでいろいろな量の単位を表現していたもの)を拡張したもの
SI基本単位とは、国際単位系(SI)において、基本単位として位置付けられている7つのSI単位である。
SI組立単位とは、国際単位系 (SI) の基本単位を組み合わせて作ることができる単位である。
(以上ウィキペディアより)