大規模な大気循環の目的は熱輸送にあるということを思い出した上で、今回は3種類の大規模循環がどのように熱輸送をするのかに主眼を置いてイメージ図を作ってみました(北半球)。
1.ハドレー循環と極循環
低緯度のハドレー循環と高緯度の極循環はイメージしやすいですね。
ハドレー循環は地球図の中央あたりにある赤い指輪の形で立体的に表しました。
極循環も同様に紺色の指輪の形で表現しました。
両循環は見た通り 直接 大気をぐるぐる回すことによって南北の温度差を解消しています。
それで両循環は直接循環と呼ばれます。
2.フェレル循環
やっかいなのは中緯度のフェレル循環です。
フェレル循環は他の循環のように直接風を回しているわけではありません。あくまでトータルで南側の熱を北側に移しているように見えるという意味での循環です。
そのためフェレル循環は間接循環と呼ばれています。
3.偏西風と温帯低気圧
では実際には中緯度ではどのように熱が南北に伝えられているのでしょう?
それは偏西風波動、つまり偏西風の蛇行によってです。
偏西風の蛇行によって北側の寒気が下降しながら南側に入り、一方南側の暖気は上昇しながら北側に入ります。その結果、平均すると南北の温度差が小さくなります。このようにして熱輸送がされるという仕組みになっています。
図では偏西風(寒帯前線ジェット気流)が南側に向かっているところを青い線で描いています。このライン付近で高気圧が生じます。
また、偏西風が北側に向かっているところを赤い線で描きました。このライン付近で温帯低気圧が発生、発達します。
温帯低気圧は空気の入れ替えに重要な役割を果たしています。南側の暖気は温暖前線を境に上昇しながら北上し、北側の寒気は下降しながら南下して地上に達して寒冷前線を作ります。
偏西風と温帯低気圧の関係はかなり複雑なので別の機会にじっくり取り上げるつもりです。
また、寒帯前線ジェット気流の「寒帯前線」は寒冷前線と紛らわしいですが、寒帯前線についても近いうちに取り上げる予定です。
あ、ジェット気流も2つ描いてありますが、それもまたの機会に。
何から取っかかればいいやら 🙄