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大気による顕熱輸送と潜熱輸送(南北熱輸送2)

低緯度の熱を高緯度に運び地球の温度が極端にならないようにするのが南北熱輸送の役目です。

今回は熱輸送を種類別に分けて考えていきます。熱を全部ひっくるめた全熱輸送については「南北熱輸送1」をご覧ください。

1.イメージ図の説明

冒頭のイメージ図をご覧ください。ちょっとごちゃごちゃしてますが、この図は上半分と下半分に分けられています。

上のグラフ(イメージ)は先回と同じ北向き熱輸送量の緯度分布を示したものです。

横軸が緯度で左が北極側、右が赤道側です。横軸より上がプラスつまり北向きで、下がマイナスつまり南向きを表しています。

下の図は緯度別の鉛直断面図です。

この後、設定を北半球にしますが、南半球も方角が反対になるだけで同じ仕組みで熱輸送されます。

2.大気による顕熱輸送

2-1. 顕熱とは

顕熱とは、物質の温度上昇・下降に関わる熱のことで、皮膚で感じることができるものです。

グラフでは赤線、鉛直断面図では赤い太い矢印で示しています。

2-2. 熱帯収束帯

赤道よりやや北側にあります。実際にはもっと北上することがありますが、年平均して北緯5°付近ということになっています。熱帯収束帯を境に顕熱が南北方向に輸送されます。

2-3. ハドレー循環

グラフの赤線には二つの極大値(山)があります。低緯度(右側)の極大値は主にハドレー循環によるものです。

2-4. 傾圧不安定波(温帯低気圧)

高緯度側の極大値は傾圧不安定波温帯低気圧)によるものです。

温帯低気圧がどのように熱を高緯度に輸送するかについてはこちらの記事をご覧ください⇒

目的は熱輸送2(傾圧不安定波12)

3.大気による潜熱(水蒸気)輸送

3-1. 潜熱とは

潜熱とは、物質が状態変化する場合に放出したり吸収したりする熱のことです。

グラフでは水色の線、鉛直断面図ではピンク色の太い矢印で示しています。

潜熱のうち、熱輸送に関係するのは蒸発熱と凝結熱です。

蒸発熱(気化熱)は水が水蒸気に変わる時に周りから吸収する熱です。

凝結熱は水蒸気が水に変わる時に周りに放出する熱です。

潜熱による熱輸送は次のような仕組みによります。

1)  ある場所で蒸発が起こり周りの熱を奪ってため込む

2) 水蒸気を含んだ空気が別の場所に移動する

3) 移動先で凝結して雲になる時に周りに熱を放出する

3-2. 亜熱帯高圧帯

北緯26°付近亜熱帯高圧帯があります。夏によく聞く太平洋高気圧もその一部です。

低緯度で海面水温が高く、高気圧帯で天気も良いので蒸発が盛んになります(内陸部では砂漠地帯が多いです)。

この水蒸気をたくさん含んだ空気が南北方向に移動します。

3-3. 低緯度への潜熱輸送

高気圧帯で生じた水蒸気を含んだ空気の一部は北東貿易風として南に向かいます。

南半球からも同様にして生じた空気が南東貿易風として北に向かいます。

両方の空気がぶつかったところで上昇気流が起き雲が発生・発達し、ここが熱帯収束帯となります。

このようにして亜熱帯高圧帯で得た熱を熱帯収束帯で放出するのが南向きの潜熱輸送です。

グラフではマイナス(下)に振れているのが南向きの潜熱輸送です。

3-4. 高緯度への潜熱輸送

亜熱帯高圧帯からは高緯度(北)へも潜熱が輸送されています。また、アジアモンスーンも潜熱を北に輸送しています。

潜熱は温帯低気圧等により雲ができる時に放出されます。

グラフではプラス(北)に大きく振れているのが分かります。

4.海洋による熱輸送

熱輸送には大気によるものとは別に海洋による熱輸送もあります。

赤道付近の暖かい海水は暖流という形で高緯度へと流れていきます。日本付近の黒潮もその一つです。

図(グラフ)には描いていませんが、北半球・南半球とも緯度20度付近で極大値を示しています。

5.全熱輸送

以上の大気による顕熱輸送、潜熱輸送と海洋による熱輸送を合計したものが全熱輸送になります。

南北熱輸送と関連したものとして降水量と蒸発量の緯度分布というのがあります。これについては別の機会に調べていきたいと思います。

6.まとめ

▶ 大気による顕熱輸送

1) 熱帯収束帯付近を始点に南北の高緯度に輸送

2) 低緯度側の極大値・・ハドレー循環による

3) 高緯度側の極大値・・傾圧不安定波(温帯低気圧)による

 

▶ 大気による潜熱(水蒸気)輸送

1) 亜熱帯高圧帯で獲得(蒸発熱)

2) 低緯度に輸送され熱帯収束帯付近で放出(凝結熱)

3) 高緯度に輸送され温帯低気圧等により放出

 

▶ 海洋による熱輸送

緯度20度付近で極大値