目的は熱輸送2(傾圧不安定波12)

温帯低気圧 子供と大人

前回の続きになります。傾圧不安定波による収束、発散、温帯低気圧、熱輸送までを取り上げます。

前回の記事では下記図の右上の「気温差 大」 から矢印に沿って説明していき、左下の青い囲みの真ん中にある「収束、発散」までを取り上げました。

その続きですが、過去の記事「偏西風、低気圧に寄り道」の立体図も参照してください。

傾圧不安定波と熱輸送 循環

7-5 寒気の下降・南下

傾圧不安定波の気圧の尾根と谷との間で風の収束が起きると、風は上に対流圏界面があるので下降するしかありません。

その時、重い寒気が暖気の下に潜り込もうとするので、寒気は下降しながら南下します。

7-6 温帯低気圧

上空の気圧の谷に対応する場所に温帯低気圧が発生します。

下降・南下した寒気の一部は温帯低気圧に流れ込み地上に達して寒冷前線を作ります。

7-7 暖気の上昇・北上

一方、低気圧の南側にある暖気は温暖前線を境に上昇しながら北上します。

上空の気圧の谷の東側には偏西風の発散があるので、上昇した暖気は発散によって足りなくなった空気を補う形で傾圧不安定波に取り込まれていきます。

偏西風は蛇行しているので暖気は寒気側に食い込むような体勢で北上します。このようにして最初の熱輸送が行われます。

ページトップにある予想天気図では四国の南沖合に発生して間もない低気圧があります。

8.蛇行が中・温帯低気圧の発達(真ん中の青い枠)

南北の温度差はまだ大きいので傾圧不安定波の蛇行はより大きくなり、寒気の流入が続くため温帯低気圧は発達を続けます。それに伴い南側の熱もより多くが北側に輸送されていき熱輸送が続きます。

9.蛇行が大・温帯低気圧の最盛期(右の青い枠)

トップの天気図にその姿が現れています。北海道の北西に発達した低気圧があり閉塞前線が出来ているのが分かります。熱輸送の最終段階です。

10.切離(右端の水色の枠)

温帯低気圧は発達しきると前線から切り離され切離低気圧となります。次の天気図ではカムチャッカ半島の東にその姿があります。

さらにあまりに蛇行した偏西風は蛇行部分が切り離され、単独の渦となります。こうなると低気圧は次第に衰退していきます。

低気圧は前線からも偏西風からも見放され独り寂しく余生を送ります。といっても中心気圧が低く大きな低気圧なのでしばらくは北日本で暴れまわります。すべての温帯低気圧がこのような過程をたどるわけではないですが、日本では冬型の気圧配置の典型ですね。

この時点で熱輸送は終了し、傾圧不安定波と温帯低気圧の使命は終わります。

11.熱輸送から気温差 小 へ

熱輸送が完了すると南北の気温差は小さくなります。でも、緯度による熱エネルギーの差はいつでも広がり続けるので、やがて温度差は再び大きくなり傾圧不安定波発生のプロセスが始まります。

以上が偏西風波動(傾圧不安定波)による中緯度の熱輸送のサイクルです。低緯度や高緯度のような直接循環ができない中緯度偏西風帯は手続きが面倒ですね。まあ、そこが気象の面白いところですが 😀