どうやって雲ができて雨が降るか・・が降水過程で学ぶことです。でも、テキストには聞きなれない単語、過冷却水滴、エアロゾル、終端速度、暖かい雨に冷たい雨?
一つ一つ丁寧に学んでいくわけですが途中で迷子にならないよう、先に全体像をまとめてみました。それが上のイメージ図です。ごちゃごちゃした図を作ってしまいましたが、分かりやすく説明します。
1.降水過程の基本要素
降水過程に関わる要素は水分子、温度、エアロゾルの3つです。
1-1. 水分子
降水ですから基本は水です。水の分子は水蒸気、水(雲粒と雨)、氷(雲粒や雪など)の形をとります。
1-2. 温度(気温)
◎ 飽和について・・
温度は水蒸気の飽和を通して雲の発生に関わっています。
◎ 状態変化について・・
温度は先ほど挙げたように水分子の状態を水蒸気、水、氷の間で相互に変換させます。これらの変化によって雲が発生・成長します。
1-3. エアロゾル
水蒸気が飽和するだけでは雲のもとになる水滴や氷晶はできません。エアロゾルと呼ばれる大気中の小さな粒子が必要です。
エアロゾルにはちり・ほこりや波しぶきが蒸発してできる海塩粒子などがあります。
2.降水までの流れ
おおざっぱな流れは次の3つです。
❶ 雲粒の発生 ❷ 雲粒の成長 ❸ 降水
ここに❹として終端速度(雨粒の最終落下速度)を加えます。
3.暖かい雨と冷たい雨
雲が気温が氷点下の高さにまで発達するかどうかで暖かい雨か冷たい雨かに分かれます。
4.十種雲形
降水過程の項目に雲の種類を付け加えます。十種雲形については次の記事をご覧ください。
5.霧
霧の種類についても降水過程の項目の一部として取り上げます。
6.エアロゾル・雲粒・雨粒の大きさ
降水過程の本題に入る前に、登場するいろいろな細かい粒の大きさをまとめてみました。直径と書かれているもの以外は半径で示しています。
また、似たような図で放射の分野で学ぶ電磁波の大きさ(波長)と比較したものがあるので、そちらも参考にしてください。⇒『水分量表現と降水過程』(3.降水過程)
6-1. エアロゾル
エアロゾル(エーロゾル)は大きさによって3種類に分類されます。小さい方から
○ エイトケン核 0.005~0.2μm(凝結核は0.1μm)
○ 大核 0.2~1μm
○ 巨大核 1μm以上(海塩粒子は20μm)
6-2. 雲粒
10μm(0.01mm)を中心として1μm(0.001mm)~100μm(0.1mm)
さらに1μm以下の微小な水滴があります。
6-3. 霧雨
100μm(0.1mm) ちょうど雲粒と雨粒の境になっています。
6-4. 雨粒
1mm~2mm(1000~2000μm)を中心として0.1mm(100μm)から最大4mm(直径8mm)までとなります。
多くの場合、4mm位の大きさになると分裂して、それ以上大きくなりません。
6-5. あられは直径が5mm未満、雹は直径が5mm以上です。
7.まとめ
◇ 降水過程の基本要素・・水分子・気温・エアロゾル
◇ 降水までの流れ・・
雲粒の発生⇒雲粒の成長⇒降水
◇ 雲の高さ⇒暖かい雨と冷たい雨
◇ 粒子の代表的な大きさ(半径)
エアロゾル・・0.005~20μm
雲粒・・0.01mm
霧雨・・0.1mm
雨粒・・1mm
今回はごく簡単に全体像を考えました。次回からそれぞれの項目ごとに詳しく学んでいきます。