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霧の分類

霧は様々な要因で発生しますが、大きく分けると空気が冷やされて発生するケースと水蒸気が増えて発生するケースに分けることができます。

「一般気象学(東京大学出版会)」の説明を引用します。

『霧は地上に発生した雲である。したがって霧が発生するのは湿った空気の温度が露点まで下がるか、空気が飽和するまで水蒸気が加えられたか、あるいはこの両者が同時に起こったかである。』

この分類を参考に霧の発生条件と種類をまとめたので冒頭のイメージ図【霧発生の3つのパターン】から説明していきます。分かりやすいように水蒸気の量を個数で表しました。

1.霧が発生する条件

A.空気の冷却

湿った空気が冷えて飽和し霧が発生する。

図の右下の四角は霧が発生する前の空気の状態を示しています。

この空気は水蒸気3つ分を含んでいて、さらに2つ分含むことができます。この状態で気温を下げていき露点温度に達すると水蒸気3つ分でいっぱいいっぱい、つまり飽和に達し、さらに温度が下がると霧が発生します。

B. 水蒸気の補給

湿った空気にさらに水蒸気が補給されて飽和し霧が発生する。

右下の四角の状態から気温を変えずに水蒸気を2個分補給すると水蒸気5個分で飽和に達し、さらに水蒸気の量が増えると霧が発生します。

AB. AとBの混合

湿った空気が冷えるとともに水蒸気が補給されて霧が発生する。

右下の四角の状態から水蒸気を補給しながら気温も下げていくと水蒸気4個分で飽和に達し、その後霧が発生します。

2.霧の種類

上記の発生条件に注目しながら幾つかの霧のタイプを紹介します。下のイメージ図【霧の種類1】と【霧の種類2】を見てください。上記分類のA、B、AB も付け加えました。雲の形のイラストは霧です。

2.1 放射霧<A>

放射冷却で気温が下がることで発生します。

晴れて風の弱い夜間では放射冷却が進み、夜間や明け方に霧が発生します。風が強いと地表付近の冷えた空気と、その上の冷えていない空気が混合して地表付近の気温はあまり下がりません。

また、前日に雨が降って地表付近の湿度が高くなっていると、さらに発生しやすくなります。

日が昇ると気温が上がり霧粒が蒸発して消滅します。

地形としては盆地でよく見られます。冷たい空気は密度が大きく盆地にたまるからです。盆地周辺の山から見下ろすと雲海として見えることがあります。

2.2 移流霧<A>

暖かい空気が温度の低い地表面(地面・海面)上に移動し、冷やされて発生します。

夏に北日本の太平洋側の海沿いでよく発生する海霧がその典型的なものです。

この場合、暖かい黒潮の上にあった暖かい空気が南寄りの風とともに北上し、冷たい親潮の上で冷やされて発生します。

さらに、季節や場所によっては移流霧の仕組みに夜間の放射冷却が加わって発生する混合型が表れることがあります。

2.3 蒸気霧(混合霧)<A、B>

水蒸気を多く含んだ暖かい空気が周りの冷たい空気と混合して飽和に達し発生します。冬の寒い日に息が白く見えるのと同じです。

以下、幾つかの例を紹介します。暖かい水面上の空気は暖かく水蒸気を多く含んでいる点が共通しています。

◎ 梅雨期の関東・東北太平洋沿岸部

北東からの冷たい風と相対的に暖かい海面上の空気が混じりあって発生します。

◎ けあらし(気嵐)

冬の日本海側では冷たい季節風と日本海の上の比較的暖かい空気が混じりあって海面から盛んに蒸気が立ち上って発生します。

けあらしは太平洋側でも見られます。「おかえりモネ」で出てきた気仙沼のけあらしがその例です。

◎ 川霧

初冬に比較的水温が高い川や湖の上に冷たい空気が流れ込んで発生します。

2.4 前線霧<B>

主に温暖前線に伴って生じます。仕組みはこうなります。

① 温暖前線による雨が長時間続いて湿度が高くなる

② 上空の暖気から比較的高温の雨粒が降る

③ 雨粒の一部が蒸発してさらに水蒸気が多くなって霧が発生する 

締め切った風呂場でシャワーを使うともうもうと湯気がたちこめるのと同じ原理です。

2.5 前線霧と蒸発霧

「気象予報士試験 模範解答と解説 54」の56ページでは前線霧について違った解説をしていたので、その部分を引用します。

◎ 前線霧<A> 『暖かい空気と冷たい空気が接する梅雨前線や温暖前線付近で、暖かい空気が冷やされて発生する』

そして、このタイプの霧とは別に蒸発霧という種類を挙げています。

◎ 蒸発霧 『地表が冷たい時に、暖かい雨が降ってきて、水滴が蒸発しその水蒸気が冷やされることで霧が発生する』

 2.4 の前線霧はここでの前線霧と蒸発霧を合わせて説明しているようですね。

2.6 上昇霧(滑昇霧)<A>

山腹に沿って上昇した空気が断熱膨張によって温度が下がり露点以下になったときに発生します。

遠くから見れば山にかかった雲ですが、山にいる人にとっては霧です。

3.霧の発生場所の例

以上5種類の霧について覚えやすいように日本地図上に当てはめてみました。もちろんそれぞれの種類の霧は条件がそろえばどこででも発生するでしょう。例として挙げたものです。では北から見てみましょう。

◇ 移流霧・・黒潮と親潮によって北海道太平洋側で発生

◇ 蒸気霧・・気仙沼のけあらし

◇ 放射霧・・甲府盆地

◇ 上昇霧・・高い山

◇ 前線霧・・(どこでもいいので空いたところの温暖前線付近)

霧についての問題は一般知識でも専門知識でも出てきますし、実技でも天気図に海上濃霧警報などの表記があるので、しっかり理解したいですね。