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地球大気の熱収支(放射8)

地球の平均気温が -18℃ というのは相当 酷ですね。でも大気のおかげで随分暖かくなります。

今回は熱の収入(太陽放射)と支出(地球放射)を調べ、次回の温室効果の話題へとつなげます。

1.熱収支の概略

地球はほぼ黒体とみなすことができますが、この場合の地球とは大気も含めての地球という意味です。

生命にとって大気は呼吸するためだけでなく、宇宙と地面・海面との間にあって温度を丁度いい状態に保ってもらうためにも必要なものです。

温度の変化に作用するのは熱です。ということで今回は、宇宙と大気、大気と地表、宇宙と地表の熱のやり取りを調べてみます。まずは下のイメージ図をご覧ください。

これは宇宙空間、大気、地表における熱のやり取りを、途中経過を省略して結果だけ表現した収支の図です。数値は概数です。また、図では%は省略してあります。

では、左上の太陽放射から説明していきます。

1-1. 太陽放射の行方

 ◎ 入射・・100%

 ◎ 反射・・ 30%

入射分の内、30%は大気や地表で反射して宇宙に戻って来ます。この30%が地球アルベドの数値になります。

 ◎ 地球吸収分・・70%

入射分からアルベド分を引いた分が大気と地表に吸収されます。

 ◎ 大気による吸収・・20%

地球吸収分の内、20%は大気(雲を含む)に吸収されます。

 ◎ 地表による吸収・・50%

太陽放射の残り半分が大気を透過して地表を暖めます。

1-2. 地表の熱の行方

地表には太陽放射の50%分が熱として蓄えられています。この熱の放出の内訳は以下の通りです。

 ◎ 顕熱の輸送・・10%

10%は熱伝導と対流によって大気に輸送されます。

 ◎ 潜熱の輸送・・20%

20%は地表面からの水の蒸発に伴う潜熱として大気に輸送され、水蒸気が凝結して雲を作る時に大気を暖めます

 ◎ 地表が射出する地球放射・・(20%)

地表が受け取った熱50%から顕熱・潜熱分を除いた分が地球放射として射出されます。計算上は20%になりますが、後述するように実際には20よりはるかに大きな数値になるので括弧を付けました。内訳はこうなります。

  ● 大気の窓・・6%

  ● 大気による吸収・・(14%)

地球放射の内、大気の窓と呼ばれる波長領域にある6%は大気に吸収されることなく直接宇宙に出て行きます。残りは大気に吸収されます。

1-3. 大気の熱の行方

大気が含む熱の内訳は

 ◎ 太陽放射の吸収分・・20%

 ◎ 顕熱・潜熱による熱の移動・・30%

 ◎ 地表からの放射の吸収分・・(14%)

合計64%が地球放射として宇宙空間に出ていきます。

1-4. 宇宙空間に出ていく地球放射の合計

大気から64%、地表から6%、合計70%が地球放射として宇宙空間に出ていきます。

1-5.放射平衡

地球放射70%+アルベド30%=太陽放射100%

これで地球に入ってくる放射と地球から出ていく放射のつり合いが取れました。

2.熱収支の内訳

2-1. イメージ図の説明

ここからは、概略で説明を省略した部分を含め下のイメージ図で詳しく説明していきます。数字は%で大まかな数値です(テキストや資料によって違うので)。

数字の符号を説明します。マイナスが付いていない数字は受け取る熱エネルギー、マイナスが付いている数字は失う熱エネルギーと考えてください。括弧が付いている数字は熱のやり取りがないことを示しています。

図全体の左半分は太陽放射に関するもの、右半分が地球放射に関するものです。まずは太陽放射から。

2-2. 太陽放射の行方

太陽放射(短波)を黄色の矢印で示しました。左から説明します。

◆ 宇宙空間において

 ◎ 地球への入射・・-100%

 ◎ 地球からの反射・・30%

(地表4%+散乱光6%+雲20%)

◆ 大気層で(図の左から)

 ◎ 透過し地表で反射・・(4%)

 ◎ 散乱し、宇宙空間( 6%)と地表( 6%) へ

 ◎ 雲に当たり・・吸収3%

  反射して宇宙へ(20%)透過し地表で吸収(24%)

 ◎ 透過して地表へ(20%)

 ◎ 大気で吸収 17%

よって大気層での吸収は合計 20%

◆ 地表で

 ◎ 反射して宇宙空間へ・・(4%)

 ◎ 散乱光を地表で吸収・・6%

 ◎ 雲を透過した放射を地表で吸収・・24%

 ◎ 大気を透過した放射を地表で吸収・・20%

よって地表による吸収は合計 50%

2-3. 地表の熱の行方

地球放射(長波=赤外放射)をピンクの矢印で示しました。左から右へと説明します。

◆ 地表で

 ◎ 放射して大気で吸収・・-117%

 ◎ 顕熱の輸送・・-10%

 ◎ 潜熱の輸送・・-20%

 ◎ 放射して直接宇宙空間へ・・-6%

 ◎ 大気から再放射され地表で吸収・・103%

以上、合計は -50%

◆ 大気で

 ◎ 受け取った熱・・167%

(太陽放射20%、地表から放射117%、顕熱10%、潜熱20%)

 ◎ 失った熱・・-167%

(地表への下向き放射 -103%、宇宙空間への上向き放射 -64%)

◆ 宇宙空間で

 ◎ 受け取る地球放射・・70%

(地表からの直接放射6%、大気からの放射167%)

ここに、地球からの反射 30%を足すと100%になります。

3.大気による再放射

地表と大気の熱のやり取りは、地球が受け取った太陽放射よりはるかに大きな数値となっています。

カギとなるのは、熱を持った大気は宇宙空間へも地表へも熱エネルギー(長波放射)を放出するということにあります。

地表からすれば、渡したはずの熱の一部が戻って来てしまったことになります。

仕方ないので地表はさらに多くの熱を大気に渡すことになります。するとさらに多くの熱が戻って来てしまいます。

これを繰り返すうちに熱の受け渡しが大きくなり、図にある数値で落ち着くようになった、そんな感じでしょうか?(勝手に話を作りましたが)

では、最後に収支の図を数値を目立つ形でもう一度載せます。

受け取った熱の数字と失った熱の数字の合計が 0 になることに着目してください。0 という数字は熱が平衡状態にあることを表しています。

次回は温室効果の仕組みについて取り上げます。