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放射平衡温度の求め方(放射7)

ここでは黒体に関する法則を利用して地球の温度を計算します。

放射平衡状態では地球は極端に暑くも寒くもならずに済んでいます。

そこに大気の影響を加味すると生物にとって丁度いい気温になります。

では、まずは大気の存在を無視したときの放射平衡温度を調べてみます。

1.放射平衡と法則

冒頭のイメージ図をご覧ください(下にもあります)。この図は大気の存在を無視した場合の、地球の放射平衡温度を求めるまでの流れを示したものです。流れなので、数値は入れてないです。

ウィーンの変位則は大気なしの放射平衡温度を計算するのには直接関係ないですが、入れておきました。

法則についての簡単な説明は「放射に関する法則(放射4)」を参考にしてください。さっそく右端の太陽から順に説明していきます。

2.太陽から地球への放射

2-1. 太陽とウィーンの変位則

ウィーンの変位則とは、放射強度が最大となる波長は黒体の絶対温度に反比例するというものです。

太陽の場合 表面の絶対温度から計算すると、最も強い放射強度を示すのは可視光線ということになります。ですから地球が受け取る太陽放射は主として可視光線だということが分かります。

2-2. 太陽とステファン・ボルツマンの法則

ステファン(シュテファン)・ボルツマンの法則とは、黒体放射の全ての波長帯の放射強度の総量は黒体の絶対温度の4乗に比例する、というものです。

次の式で表せます。I は全波長の放射強度の総量、T は絶対温度、σ は定数です。

I=σT4 

この式から分かるのは絶対温度が分かれば放射強度を求めることができ、逆に放射強度が分かれば絶対温度を求めることができるということです。

この法則を用いて太陽から放射される電磁波の放射強度の計算をします。

2-3. 太陽放射と距離の逆2乗則

距離の逆2乗則とは、放射強度は距離の2乗に逆比例(反比例)するという法則です。

この法則を用いて地球が受け取る太陽放射の強さを計算します。

3.地球が受け取る太陽放射

3-1. 太陽定数

太陽定数とは、地球の大気上端で太陽の方向に垂直な単位面積(1m2 )で1秒間に受ける太陽放射エネルギー量のことです。

太陽定数が放射平衡温度を計算する上での基になります。

3-2. アルベド

アルベドとは放射を受けたときの反射率のことです。地球のアルベドは 0.3 です。それで地球が受け取る太陽放射は太陽定数からアルベドの割合を引いて計算します。

3-3. 地球の断面積

太陽定数は単位面積あたりの放射強度なので、地球全体にどれくらいの放射が注がれるかは放射の当たる面積によります。

この面積は地球の断面積となります(図の黄色い楕円)。地球上のほとんどの場所では太陽光は斜めから差し込むので、陽が当たる面積が広くなって元々の太陽放射の量は変わりません。(「地球と地表が受ける放射強度(放射2)

3-4. 地球が受け取る放射量

太陽定数からアルベドの割合を引いた数値に地球の断面積をかけた値が地球全体として受け取る太陽からの放射量となります。

4.地球が失う地球放射

4-1. 地球とウィーンの変位則

この時点ではまだ地球の放射平衡温度、つまり地球の絶対温度は分かっていないので、地球放射の最大放射波長は計算上では分かりません。でも先に言ってしまえば赤外線になります。

4-2. 地球とキルヒホッフの法則

キルヒホッフの法則とは簡単に言えば、よく吸収する物体ほどよく放射するという法則です。

地球はほぼ黒体とみなすことができるので(反射分を除いた)太陽からの放射を目一杯吸収しても、地球からも目一杯の放射が出ていることになります。

4-3. 地球とステファン・ボルツマンの法則

目的は地球の絶対温度を知ることですから、先に地球放射の強度を計算し、その数値から地球の温度を導き出します。

4-4. 地球の表面積

地球放射は太陽放射と違って昼夜関係なく地表面全体から射出されます(図の緑の円(実際は球))。

4-5. 地球が失う放射量

太陽放射と同様に単位面積当たりの地球放射に地球の表面積をかけた値が地球が失う放射量となります。

5.放射平衡

地球が受け取る太陽放射の量と地球が失う地球放射の量は等しくなります。この状態が放射平衡の状態です。

この平衡状態が保たれていないと、地球はどんどん暑くなったり逆にどんどん寒くなったりしてしまいます。

放射平衡温度は放射平衡状態を利用して求めることができます。この後、実際の数値と計算式で地球の温度を計算していきます。

6.放射平衡温度の計算

方法としては、すでに分かっている数値を式に代入していって、分かっていない地球の絶対温度を計算するというものです。

6-1. 記号の説明と値

◆ S0 :太陽定数 1.38×103Wm-2

◆ A:地球アルベド 0.3

◆ π(パイ):円周率

◆ re:地球半径

◆ IE:地球放射強度

◆ σ:ステファン・ボルツマン定数

    5.67×10-8Wm-2K-4

◆ Te:地球の放射平衡温度

これから下記のイメージ図にある式から解説します。黒丸の番号順に説明していきます。(文字化けしたら記号と式で判断してくださいね)

6-2. 地球が受け取る太陽放射

❶ S0 太陽定数 

❷ A アルベド 

❸ S0(1-A) 地球が受け取る太陽放射(単位面積あたり)

❹ πre2 地球断面積

❺ S0(1-Aπre2 地球が受け取る太陽放射量

6-3. 地球が失う地球放射

❻ IE  地球放射強度

❼ 4πre2 地球表面積

❽ IE ×4πre2 地球が失う地球放射量

 

6-4. 地球放射強度

❾ 地球が受け取る太陽放射量と地球が失う地球放射量が等しく放射平衡状態にあるので次の式が成り立ちます。

❿ S0(1-Aπre2 = IE ×4πre2 さらに両辺のπre2 を消去して

⓫ S0(1-A) = 4×IE 

この式に太陽定数とアルベドの数値を代入して整理すると

I = 240Wm-2 となり、これは地球表面から 1m当たり240Wに相当する熱が宇宙に逃げていることを表します。

 

6-5. ステファン・ボルツマンの法則を当てはめる

⓬ IE  = σTe4 ステファン・ボルツマンの法則

⓭ S0(1-A)= 4σTe4

6-6. 各数値を式に代入

各数値を式に代入して整理すると

⓮ Te = 255K (-18℃) となります。

これが大気が存在しないと仮定した場合の地球表面の放射平衡温度になります。

では、大気の存在は太陽放射と地球放射にどのような影響を及ぼすでしょうか?

次回以降 考察していきます。