50 -(-50) = 100
アメリカとオーストラリアの気温の差です。
カギは極渦の分裂と北風 どういうことか考えます。
1.北極より寒いアメリカ
ここ数日(2019年1~2月)アメリカでは記録的な寒さとなっています。例えば、
◎ シカゴ
-30℃ 1/30(水)午前
強風により体感温度は-46℃になるということです。さらに
-39℃ 1/31(木) 最低気温の予想
シカゴはエベレスト(-22℃)や北極(-12℃)よりも寒いことになります。他の都市でも
◎ ミネソタ州インターナショナルフォールズ
-43℃ 1/27日(日) 最低気温
◎ ミネソタ州北部
体感温度の予想 -54~56℃
2.オーストラリアでは
一方オーストラリアでは連日記録的な暑さとなっています。少し前になりますが、
◎ 南オーストラリア州の州都アデレード
46.6℃ 24日(木) (観測史上最高気温)
これはこの時期の最高気温の平均よりも18℃も高い気温でした。さらに
◎ 南オーストラリア州ウイアラ
48.5℃ 24日(木)
◎ポートオーガスタ
49.1℃ 24日(木)
アメリカ各所で最低気温がマイナス40℃以下、体感温度はマイナス50℃以下なのに対し、オーストラリアでは50℃近くの酷暑になっています。その差は100℃近くです。
3.極渦が怪しい
北アメリカにおける異常な寒さの原因は極渦にあるというのが専門家の意見です。
極渦とは「極の上空の成層圏に冬季に形成される低気圧性循環の渦のこと」(「気象予報士かんたん合格テキスト」)です。
極渦は成層圏という非常に高い上空で起きる現象なので、本来地上の天気に直接影響を与えることはありません。
ただ、極渦には極周辺の寒気を閉じ込めておくという役割があり、この役割を果たせなくなると人間は厄介なことに巻き込まれることになります。
今季の北半球でこの厄介なことが起きてしまいました。極渦の分裂です。その仕組みについて専門家たちの解説を解説します。(設定を北半球とします)
4.元をただせば地球温暖化
多くの学者は極渦の分裂には地球温暖化が関係していると考えているようです。そこから今回の北米の大寒波までの道筋を(幾つかの意見を総合して)挙げていきます。
4-1 海氷の融解
温暖化は特に極地方で著しく進んでいます。そのため北極海の氷が融け、北極周辺の気候を不安定化させています。
4-2 ジェット気流の蛇行
ジェット気流(偏西風の最強域)は北半球では普段から蛇行しています。でも通常はその流れは力強く予測可能な範囲内に収まっています。
しかし北極の温暖化が進むと低緯度と高緯度の気温の差が小さくなり、ジェット気流の勢いが弱まり蛇行が激しくなります。
4-3 極渦の分裂
ジェット気流の変化は極渦の勢いを弱めます。
その結果 極渦は2~3個に分裂し、ジェット気流が南下している地域に移動してしまいます。
同時に極渦がため込んでいた強い寒気も南下して、その地域で大寒波となります。
反対に極渦からの寒気の流入でジェット気流の流れが変わったという説明をする人もいます。
どちらにせよ北米での大寒波は極渦の崩壊によって引き起こされたことに変わりありません。
5.オーストラリアの熱波は
南半球のオーストラリアは夏とはいえ、異常な熱波が続いています。その要因の一つである気圧配置に関しては(ありきたりですが)高気圧と低気圧の位置が関係しています。
5-1 1月中旬の猛暑の時は、東海上の高気圧から吹き出す北寄りの風が北部・中部の暑い空気を南に運ぶことで生じました。
この時は1月15日(火)に南オーストラリア州のタークーラで、日中の気温が49.1℃まで上がりました。
5-2 1月下旬の猛暑の時は、南海上で接近している低気圧と前線に向かって吹き込む北風によって内陸部からの暑い空気が南部へと流れ込むことで生じました。
どちらの場合もオーストラリアの大部分を占める砂漠を通過する北風によって引き起こされたと言えますね。
ただ、オーストラリアでは近年異常に高温な夏が多く、これも地球温暖化の影響と見る学者が多いようです。