温帯低気圧の発達(傾圧不安定波18)

温帯低気圧の発達

今回は傾圧不安定波とセットになっている温帯低気圧の一生について考えます。

ここしばらく取り上げてきた傾圧不安定波による熱輸送のサイクルについての一連の記事の最後になります。

この記事で扱うのは次のサイクル図の淡い緑で囲った部分になります。

偏西風が傾圧不安定波として現れ始めると前線上に温帯低気圧が発生し、傾圧不安定波の蛇行が進むに連れて低気圧は発達します。

或いは温帯低気圧が既にある時、傾圧不安定波が低気圧に前線を生じさせ発達させます。

というのが傾圧不安定波と温帯低気圧のよくある関わり方と言えるでしょう。

そのことをイメージ図から説明します(手書きで見づらくて済みません)。

1.初めに

● 上の段の図は上空の偏西風の流れを示しています。

● 下の段の図は地表の温帯低気圧を示しています。

● 両方とも左端から右端に向かって変化していきます。

● 上空では偏西風の北側に寒気(濃い青緑色)が、南側には暖気(薄いピンク色)があります。

● 地上(海上)付近では低気圧の北側に寒気(青)が、南側には暖気(濃いオレンジ色)があります。(上空の寒気・暖気と地表の寒気・暖気を区別するため色を変えています)

以下、温帯低気圧の発達について左から右へと説明していきます。実際にはいろんなパターンがありますが、ここではよくある一つのパターンで説明します。

温帯低気圧の発達

2.発達初期(左端)

● 偏西風が蛇行し始める(傾圧不安定波が生じる)と同時に温帯低気圧が発生します。

● 渦管(気圧の谷の軸)は西に傾いています(これを西傾と言います)。(以前の記事「西に傾く渦管」を参照)

● 渦管が西に傾いている間は低気圧は成長し続けます

3.発達中(左から二番目)

● 偏西風(傾圧不安定波)の蛇行が大きくなると温帯低気圧はさらに発達し続けます。

● 渦管も西に傾いたままですが、次第にその傾きが小さくなっていきます。

4.完全に発達(左から3番目)

● 低気圧が最盛期に差し掛かると閉塞前線が生じ、等圧線も円形に近づいていきます。

● 偏西風の蛇行も非常に大きなものとなっています。

● この頃には渦管の西傾はなくなり直立した状態になります。

5.切離低気圧となる(右端)

● 閉塞前線が消え、低気圧は本来の前線から離れて円形の等圧線を持つようになります。これを切離低気圧と言います。

● 上空では偏西風の蛇行が大きくなり過ぎて本来の偏西風の流れから切り離され寒気の渦を持つ低気圧が生じます。これも切離低気圧と言います。

● この状態では地上(海上)の低気圧は上空との寒気・暖気のやり取りができなくなるため、次第に衰退していきます。

6.熱輸送の完遂

このようにして温帯低気圧は上空の寒気の一部を自分の周りに引き寄せ、下層の暖気の一部を上空の偏西風周辺に引き上げることで熱輸送の役割を果たし終えます

傾圧不安定波と温帯低気圧の関係については、ここで一旦終わりにして、次回からは さらに温帯低気圧や前線付近の雲のでき方について取り上げます。