大気を箱型にして傾圧大気から偏西風波動、そして温帯低気圧の発達までまとめてみました。
傾圧不安定波をちゃんと理解するのは結構大変です。テキストによって説明の仕方がかなり違うという印象を受けました。
もちろん結局はどのテキストも同じことを言っているのでしょうが、どこに重点を置いているのかが分からないと混乱します(私の場合)。
それに加えて3次元で捉えないと理解することが難しいです。3次元、つまり東西、南北、高度の3つの軸です。
傾圧不安定波の発生から消滅までの時間軸を含めると4次元になります。
でも気象は4次元、だから面白いですね。流れる雲は確かに4次元、だから飽きないです。
ボヤキはここまでにしてイメージ図の説明をします。それぞれの詳しい説明は以後の記事でじっくり扱います。こういうものか、と受け止めておいてください。
全体のイメージ図に1~4の数字を付けましたので、その順番で解説します。
2~4は前回のブログ「偏西風、低気圧に寄り道(傾圧不安定波1)」で簡単に紹介したので、そちらも参照してください。
1.傾圧大気(箱型の左側面)
中緯度で上空に偏西風が流れている辺りの大気(北半球)の模式図と考えてください。横軸が南北、縦軸が高度です。ここでは上空の大気に焦点を当てて考えます。
一般に中緯度では平均気温は南側が高く北側が低くなっています。そのため層厚の違いにより平均的な気圧も南が高く北が低くなっています。それで上記の図でも等圧面が傾斜していることで表現しています。
さらに中緯度では南北の気温差(水平温度傾度)が低緯度、高緯度と比較するとかなり大きくなっています。上記の図でいえば等温面(赤い線)の傾きが大きく混んでいることで表現しています。
こうした状態では等圧面と等温面は交わっています。高層天気図では等温線を引くことができます。
このように等圧面と等温面が一致していない大気を傾圧大気と言います。
日々気圧や気温は変化していますが、特に南北の水平温度傾度が大きくなると温度風の関係から地衡風の鉛直シアが大きくなり上空ほど強い偏西風が吹くようになります。
偏西風が強すぎて限界!となった時、何が起きるか? 続きは次回の 2偏西風波動で考えます。