3次元で大まとめ2(傾圧不安定波3)

3次元2 偏西風波動と温度移流

前回に引き続いて大気を箱に見立てて偏西風波動の前後に生じる現象をとても大雑把にまとめてみました。

まずは前回の記事のトップに挙げたイメージ図をもう一度見てください。

傾圧大気から温帯低気圧まで

前回はイメージ図の1~4の数字のうち1の傾圧大気を取り上げましたが、今回は2の偏西風波動以降を説明します。

2.偏西風波動(箱の上部、蓋のところ)

3次元2 偏西風波動と温度移流

前回は傾圧大気において南北の気温差が大きくなって偏西風が強くなりすぎるとどうなるか?というところで記事を終えました。

お察しの通り偏西風が蛇行し始めます。ここのところは偏西風波動(プラネタリー波は除く)を傾圧不安定波と呼ぶ理由ともなっていますので、後日じっくり考察します。

3.温度移流

3-1 水平温度移流(偏西風上の赤と青の矢印)

偏西風はその北側にある寒気と南側の暖気とを分ける役割をしています。

しかし、偏西風が蛇行し始めると次のように寒気と暖気の混じり合いが始まります。

● 偏西風が南側(暖気側)に張り出しているところを気圧の谷と言います。

● 気圧の谷の西側では寒気が暖気側に南下して来ます(寒気移流)。

● 気圧の谷の東側では暖気が寒気側に北上します(暖気移流)。

寒気移流と暖気移流を合わせて温度移流と呼びます。

温度移流によって南北の温度差を縮め、低緯度の熱を高緯度に運ぶこと(熱輸送)が偏西風波動(特に傾圧不安定波)の主な役割です。

ただ、実際には偏西風が波打つだけで寒気・暖気がかき回されるという単純なことではなく、効果的な熱輸送には温帯低気圧が重要な要となっています。

3-2 鉛直流(箱の手前側の側面)

3次元3 鉛直流

偏西風の蛇行による暖気・寒気の移動は水平方向だけではなく鉛直方向にも生じます。

● 気圧の谷の西側で寒気が下降します。

● 気圧の谷の東側で暖気が上昇します。

寒気・暖気は水平方向にも鉛直方向にも同時に移動します。寒気は下降しながら南下、暖気は上昇しながら北上という具合です。

4.温帯低気圧(箱の底の部分)

3次元4 温帯低気圧

下降しながら南下した寒気は地上付近で高気圧を作ると共に、暖気とぶつかって地上に前線を生じさせます。

上空の気圧の谷に対応する前線付近で渦が発生し温帯低気圧ができます。

寒気が低気圧に吹き込むところに寒冷前線ができ、暖気は温暖前線を境に上昇していきます。

この様子を表現した(つもりの)イメージ図は少し前の記事「偏西風、低気圧に寄り道(傾圧不安定波1)」にありますので見てください。

傾圧不安定波と温帯低気圧についてちゃんと理解しようとすると、まだまだ先があります。でも温帯低気圧がなかったら・・天気図がのっぺりしちゃって面白くないですよね。