台風を英語で言うとTyphoonです。だから台風はタイフーンですが、台風はタイフーンではありません。
なんのこっちゃ?ですが、台風に関する国際的な分類方法と日本における台風の定義が違うということです。
国際的な分類方法による熱帯低気圧・台風の呼び名は風速に基づいていますが、気象予報士試験で用いられる天気図ではノット(KT)が用いられることが多いです。
さらに風に関する海上警報と熱帯低気圧・台風の種別も対応していることが多いです。
ということで、風速を軸に国際的な分類方法による台風と海上警報をまとめてみました。それぞれの詳しい説明や定義は別記事にして、ここでは数字にこだわってみました。
1.国際的な分類
図表の横軸の数字は最大風速を示したもので、単位は上から秒速(m/s)、ノット(KT)、秒速(m/s)です。
ノットの軸のすぐ下にあるのが国際分類による熱帯低気圧・台風の呼び方です。左から説明します。
◆ Tropical Depression (TD)
トロピカルディプレッション 34kt 未満
◆ Tropical Storm (TS)
トロピカルストーム 34kt 以上 48kt 未満
◆ Severe Tropical Storm (STS)
シビアトロピカルストーム 48kt 以上 64kt 未満
◆ Typhoon (T)
タイフーン 64kt 以上
2.日本の分類
日本での分類は中心付近の最大風速(10分間平均)に基づき、風速の単位は m/s です。図表では下の風速の軸を使います。対応するノットも確認しておいてください。
◆ 熱帯低気圧 17.2m/s (約17m/s)未満
◆ 台風 17.2m/s (約17m/s)以上
強い台風 33m/s 以上 44m/s 未満
非常に強い台風 44m/s 以上 54m/s 未満
猛烈な台風 54m/s 以上
国際分類と日本の分類を比べると、おおよそですが、英語のTSは暴風域を持たない勢力の台風、STSは暴風域を持ち始める勢力の台風といった感じでしょうか。
Tは「強い」以上の勢力の台風でハリケーンもこれに対応します。
3.海上警報
海上濃霧警報を除く海上警報は海上で下記の風速の状態であるか、または24時間以内にその状態になると予想される場合に発表されます。
▶ 海上風警報 WARNING(W)
28kt(13.9m/s)以上 34kt(17.2m/s)未満
▶ 海上強風警報 GALE WARNING(GW)
34kt(17.2m/s)以上 48kt(24.5m/s)未満
▶ 海上暴風警報 STORM WARNING(SW)
48kt(24.5m/s)以上 64kt(32.7m/s)未満
▶ 海上台風警報 TYPHOON WARNING(TW)
64kt(32.7m/s)以上
▶ 台風以外の低気圧による風は64kt(32.7m/s)以上でも海上暴風警報のままです。
4.ノットと秒速
ノット(KT)は1海里(1852m)を1時間で進む速さです。
1kt は約0.514m/s ですから大まかにいってノットの数値を半分にすれば私たちが使い慣れている風速m/s の数値になります。
また、ノットの数値を2倍すればおおよその時速の数値になります。まとめると
m/s ⇒ ⇒ 2倍 ⇒ ⇒ kt ⇒ ⇒ 2倍 ⇒ ⇒ km/h さらに
m/s ⇒ ⇒ 3.6倍 ⇒⇒ km/h となります。
もう少し細かく言うと ノットを秒速に変える場合は「半分にしてちょっと足す」といいです。
例えば、64kt だと、半分にすると32 ちょっと足して33m/s といった具合です。
34kt 、28kt は当てはまらないですが、頭に入れておくといいかもしれません。
5.イラストで覚えよう
ここまでの説明で幾つもの数字や名称が出てきました。覚えるのは簡単そうで、でもいざ試験となるとごっちゃになりそうなので、3つのイラストを使って覚えたいと思います。
もっと工夫ができるかもしれませんし、皆さんで自分なりの記憶方法を見つけるのもいいと思います。
5-1. 台風と風の強さの数値
最初の図表の数値の4つのノットと3つの秒速を絵にしました(私が描いたんじゃないですが)。
ニャンコ(28kt)に 刺身(34kt) 柴(犬)に(48kt) 虫(64kt) みみず(33m/s)は 獅子(44m/s)の 5G(54m/s)
5-2. 台風の国際的表記の記号
トロで とろサーモンです(マグロのトロのイラストでいいのがなかったので)
ストーム とろサーモンの嵐のつもりです。ストームの頭文字 S をトロピカルの T に付けたので ST になります。
シビア シビアな表情の柴犬です。シビアの頭文字 S をトロピカルストームの TS の頭に付けたものです。
シビアトロピカルストームは48ノットが区切りになるので、柴(48kt)ちゃんに登場してもらいました。
台風は T ですが、これは覚えるまでもないですね。
5-3. 風に関する海上警報の種類と記号
風(海上風)は(W) 強(海上強風)靭(GW)
暴れる(海上暴風)しばちゃん(SW) また柴は48kt です。
台風の TW はそのまんまです。
以上になります。本当は最初の図表に風力や竜巻の藤田スケールも加えたかったのですが、複雑になり過ぎるのでやめておきました。