前回までの記事で質量から重さまでの流れを取り上げました。
今回はその続きで、圧力と気圧の定義を考えます。
また、物理量については以下の記事も参照してください。
⇒「気象学における物理量と単位(1)」と続きの(2)
1.圧力とは
圧力とは単位面積に垂直に働く力の大きさのことです。
イラスト図「気圧とは気柱の重さのこと」の一番左の❻をご覧ください。
圧力 P は力 F を面積 A で割って求めます。
2.パスカルとは
面積1m2 の面に垂直に1Nの力が働くときの圧力を1Pa(パスカル)といい、これが圧力の単位となります。(図の❼)
以下は1Pa の単位換算です。
1Pa=1N/m2 =kg・m・s-2 /m2
=1kg・m-1・s-2
また、図にあるように 1hPa=100Pa です。
3.気圧(大気圧)とは
気圧とは空気の圧力のことです。
大気の圧力という意味で考えるなら、気柱の重さといえます。
図では底面積を 1m2 とする空気の柱(気柱)を想定しています。(図の❽)
地上、海上、上空でもその高度上の気柱の重さが気圧(大気圧)になるわけです。
さらに、1013hPa を1気圧とします。
4.力と圧力の関係を表にしました
前回の記事と合わせて、これまでいろんな言葉や単位が出てきたので表にまとめてみました(「力と圧力をまとめてみました」)。
上の段は各物理量の記号と単位です。
質量の記号は m だとメートルと紛らわしいのでMにしてあります。
中段は力、ニュートン、重力の式です。
下段は圧力と気圧の式になります。
5.気柱の重さ比べと重さを感じない理由
見たままですが、空気って結構重いんですね。
でも、空気が重くて肩がこるっていうことはありません。
理由は2つあります。
ひとつは空気の圧力は上からだけではなく、横からも下からも働くからです。この点は次の記事で扱います。
もう1つの理由は空気の圧力と同じだけの圧力が体の中から外側に働いているからです。
これら2つの仕組みは水に当てはめると分かりやすいかもしれません。
頭の上に水2リットル入りのペットボトル5本を載せるとかなり重いです。10リットル、10㎏ですから。
でも、プールで水中にもぐるとどうでしょうか?頭の上にはおそらく10リットル以上の水があるはずです。
でも、重さは感じません。体の四方から水圧がかかるからです。さらに体の中からも外側に圧力がかかっていて、圧力の大きさが釣り合っています。
でも、深海にもぐると水圧が体の中からの圧力よりはるかに大きくなり、体はつぶれてしまうでしょうね。
次回はいよいよ本題に入ります。(今までは何だった?)
テーマは気柱の重さによる大気圧(気圧)がどのように分子の衝突による気圧と結びつくかということです。お楽しみに。