温度風はややこしいですが、ややこしさを解消するために幾つか基礎的な知識が必要であることに気付きました。
幾つかというのは・・・
温度風と関連のある地衡風は上空で吹く風ですが、上空と言ってもいろいろな高さがあります。
高さの変化によって地衡風の吹き方(風向、風速など)も変化します。
さらに、地上と上空では天気図の描き方も違います。
そして、上空の風について理解するには、気温と気圧の関係を理解する必要があります。等々
気温と気圧の関係
まず最初に、気温と気圧の関係についての記事を書きます。基礎的なことですが、これからしばらく取り掛かる幾つかの「ややこしい」理屈を理解するには必要なことです。
まずは上記のイメージ図を見てください。(※)少し説明します。
● A、Bは二つの離れた地点を示しています。
● 上に伸びた長方形は気柱です。
● 黄色い○は空気分子です。簡略化するために一つの気柱につき5個の分子が描いてあります。
● 分子の合計数が気柱の下に示してあります。
● この数字が多いほど気圧が高いというわけです。
● 右側の点線は上空の一定の高さを示しています。
1.気温が同じ場合
● Aの気柱,Bの気柱とも同じ量の空気分子(5個)があるとします。
● 従って地上の気圧は同じです。
● A,Bとも気温が同じなので気柱の高さ(体積)も同じです。
2.Aの気温が低く、Bの気温が高くなると
● Aの気柱は冷やされて体積が減り気柱の高さが低くなります。
● Bの気柱は暖められて体積が増え、気柱の高さは高くなります。
● 上空の同じ高度(点線)で比べてみます
A地点の上空 a の点線の上には分子1個があります。
B地点の上空 b の点線の上には分子2個があります。
● したがって点線で示された高度では a 地点が低気圧、 b 地点が高気圧となります。
● でも、地上ではA,Bとも分子の数は5個で同じなので気圧は同じです。
3.暖かい気柱から冷たい気柱に空気が移動する
● 上空では b と a の間に気圧傾度力が生じ、b から a へ空気が移動します。つまり、上空の風です。
● 空気の移動により、地上ではA地点の上には空気6個分、B地点の上には空気4個分があることになります。
● したがってA地点が高気圧、B地点が低気圧となり、AからBへ空気の移動、つまり風が生じます。
まとめ
◎ 冷たい空気⇒上空が低気圧、地上が高気圧
◎ 暖かい空気⇒上空が高気圧、地上が低気圧
気温差が生じると地上と上空で高気圧と低気圧が逆になるなんて面白いですね。
背の低い高気圧
ただ、高気圧、低気圧には幾つもの種類があり、その成立ち、性質もそれぞれ違ってきます。
今回の理屈にかかわる高気圧は、いわゆる「背の低い高気圧」であって、「背の高い高気圧」はこれとは違った要因で生じます。
◎背の低い高気圧・・シベリア高気圧等
◎背の高い高気圧・・太平洋高気圧等
この二つの高気圧の違いについては別の機会に取り上げる予定です。
今回 取り上げた気温と気圧の関係は、地衡風、偏西風、温度風に係わっています。
また、上空の天気図(高層天気図)についても調べていきます。
※ 「図解 気象学入門 (講談社)」の図4-4を参考ししています。
※ 「気柱のセオリー」という表現も同書から取っています。