警報・注意報の精度評価(カテゴリー予報2)

予報精度の評価方法の一つとしてカテゴリー予報については分割表を用いることは既に取り上げました。

今回はその続きで、分割表を用いて警報・注意報の発表の精度を評価する方法を考えてみます。

1.警報・注意報における評価方法

警報・注意報は平常時ではなく特別な時に発表されます。

例えば毎日「今日は大雨にはなりません」と言っておけば、だいたいは当たります。大雨はそう頻繁に起きるわけではないからです。

この点は、先回の記事で紹介した冬の関東で雪が降るかというパターンと同じです。

この場合に使うのがスレットスコアだということを先回学びました。

それで、警報・注意報に関しても、スレットスコアと同じ考え方を当てはめます。

ただ、警報・注意報における適中率・見逃し率・空振り率の計算方法はスレットスコアにおけるそれらの計算方法とは違うので注意が必要です。

今回は一致率と捕捉率というワードに注目しながら考えていきます。

2.スレットスコア

スレットスコアについては先回の記事で説明しました。復習をかねてスレットスコアを大雨警報に当てはめて説明します。

次の表をご覧ください。この表は大雨警報の発表に関するもので、次の3つのパターンに分けられます。

A 大雨警報が発表され、実際に大雨となった<適中

B 大雨警報は発表されなかったが大雨となった<見逃し

C 大雨警報が発表されたが、実際には大雨とならなかった<空振り

3.一致率

では本題に入ります。警報・注意報の適中率の求め方を説明します。次の表をご覧ください。

大雪警報の発表を例にとって考えます。

大雪警報を発表して、予報通り警報の基準となる大雪になったとします。その回数が表のAになります。

発表した回数(M=A+C)のうちAの割合が適中率になりますが、この場合の適中率を一致率ともいいます。

一方、発表した回数のうちCの割合が空振り率になります。

カテゴリー予報には<現象あり>の予報を分母にとって<現象あり>の実況を適中率とする方法もあります。これを現象あり予報適中率といいます。

お気づきのように一致率と現象あり予報適中率は同じものになります。

警報・注意報における一致率と空振り率の計算方法は以下になります。グラフは率が上がるほど予報精度がどうなるかを表しています。

4.捕捉率

さらに警報・注意報の予報精度を求める別の方法として、警報・注意報の対象となる現象があった回数を分母に、そのうち警報・注意報を発表していた回数を分子として評価する方法があります。次の表をご覧ください。

警報ではありませんが、竜巻注意情報を例とします。

表の解説をします。竜巻が発生した場合、予め竜巻注意情報が出されていたなら、地下室に逃げる準備ができていたはずです。

でも竜巻注意情報が出されていなかったなら、竜巻の不意打ちに遭い竜巻に巻き込まれてくるくる回転してしまいます。

このような場合、実際に竜巻が発生した回数(N=A+B)を分母、竜巻注意情報が出されていた回数Aを分子として求める割合を捕捉率といいます。

一方、竜巻が発生したのに竜巻注意情報が出されていなかった割合Bが見逃し率になります。

捕捉率・見逃し率の計算方法は以下になります。

5.カテゴリー予報の精度評価のまとめ

ここまでのカテゴリー予報の精度評価を一つの表にまとめると次のようになります。

次回は確率予報と量的予報の精度評価について取り上げます。