前回の記事で、気象庁が出す警報・注意報や気象情報が警戒レベルのいくつに該当するかまとめました。
今回はその続編で、先回用いた表の左半分について説明します。
その表の左半分、つまりキキクルと指定河川洪水予報の部分をもっと詳しく示したものが冒頭の表です。
目次
1.キキクルと警戒レベル
1-1. キキクルとは
キキクルは警報の危険度分布を視覚的に表示したものです。
警報などが出た時に、どの地域でどんな災害が起きるか、または起きたか、危険度はどれくらいかを日本地図で示しています。
ズームアップすれば自分の住んでいる所について調べられるので、自治体からの情報に合わせて行動する助けになります。
10分毎に更新されます。
キキクルには3種類あります。
土砂キキクルと浸水キキクル・・大雨警報等に関連
洪水キキクル・・洪水警報に関連
順に調べていきます。
1-2. 警戒レベルとの関連
3つのキキクルに共通した内容です。
◆ 災害切迫【レベル5】
レベル5は既に災害が起きている状況で、大雨特別警報の指標基準に該当します。
◆ 危険【レベル4】
警報基準を大きく超過した基準になります。
◆ 警戒【レベル3】 警報基準です。
◆ 注意【レベル2】 注意報基準です。
1-3. 土砂キキクル
ここからは3種類のキキクル別に説明していきます。
土砂キキクルと浸水キキクルは大雨警報の危険度を色分けして地図上に示したものです。
土砂キキクルは土砂災害の危険が予想される時に出されます。
1kmメッシュで表示されます。
発表基準の指標の1つは前回取り上げた土壌雨量指数です。
土砂キキクルは土壌雨量指数等の2時間先までの予測値を用いて表示します。
一例を挙げます。
1-4. 浸水キキクル
浸水キキクルも1kmメッシュで表示されます。
浸水キキクルは表面雨量指数の実況値や1時間先までの予報値を用いて表示しています。
1-5. 洪水キキクル
洪水キキクルは洪水警報の危険度を色分けして地図上に示したものです。
河川流路ごとに色分けされています。
なお、全ての格子(流域雨量指数を計算している河川が通っていない格子も含む)における危険度は、1kmメッシュによっても確認することができます。
対象となるのは中小河川ですが、指定河川洪水予報の対象となる大きな河川も一緒に表示されています。
表にもあるように洪水キキクルには外水氾濫に対するものと、湛水型内水氾濫に対するものがあります。それぞれの意味と基準は以下の通りです。
▶ 外水氾濫・・河川の水位が上昇し、堤防を越えたり堤防が壊れたりして堤防から水があふれ出す
基準・・流域雨量指数等の実況値や3時間先までの予測値を用いて表示
▶ 湛水型内水氾濫・・河川の水位が高くなったため河川周辺の雨水が排水できずに発生
基準・・流域雨量指数に加え表面雨量指数も用いる(複合基準)
2.指定河川洪水予報
2-1. 指定河川洪水予報とは
洪水キキクルは中小河川を対象にしていますが、それとは別に国土交通大臣や都道府県知事が指定する河川に対して洪水の予報が行われることがあります。
これを指定河川洪水予報といい、気象庁が予報を出します。では整理して考えていきます。
2-2. 2種類の指定河川
▶ 国土交通省と共同で行う指定河川洪水予報
◇ 指定・・国土交通大臣
◇ 対象河川・・2つ以上の都府県にわたる河川または流域面積の大きい河川で、洪水によって重大な損害が生ずるおそれのあるもの
▶ 都道府県と共同で行う指定河川洪水予報
◇ 指定・・都道府県知事(気象庁と協議して)
◇ 対象河川・・上記以外の河川で、洪水によって相当の被害が発生するおそれのあるもの
2-3. 指定河川全てに共通する内容
▶ 災害の種類・・浸水・洪水
▶ 地図上での表示方法・・河川ごと
▶ 基準・・水位または流量
2-4. 警戒レベルとの関連
◆ 氾濫発生情報【レベル5】
氾濫発生(氾濫水の予報)
◆ 氾濫危険情報【レベル4】
いつ氾濫してもおかしくない状態
◆ 氾濫警戒情報【レベル3】
避難準備などの氾濫発生に対する警戒を求める段階
◆ 氾濫注意情報【レベル2】
氾濫の発生する注意を求める段階
※ 氾濫発生情報から氾濫警戒情報までは指定河川洪水予報における洪水警報に当たります。
氾濫注意情報は洪水注意報に当たります。
2-5. 洪水キキクルとの関係
既に述べたように洪水キキクルには指定河川洪水予報についても併せて表示しています。
冒頭の表の赤枠で囲われた部分がキキクルで表示されます。
ここまでで、前回の記事と併せて警戒レベル1~5と警報等・キキクル・指定河川洪水予報の関係を大まかにまとめました。
全体を概観する表は1つ前の記事の冒頭の表をご覧ください。
細かい部分はあえて省略したので、別の記事で取り上げるつもりです。