目が急に大きくなった(2019年台風19号4)

ある日突然 目が大きくなっていると人間でも台風でも何があったんだろう?と気になりますね。19号もそうでした。

24時間で 77hPa 中心気圧を下げた直後の台風19号は、よ~く見ないと分からないくらいの特別小さな目を持っていました(1番目の衛星画像)。

こういった小さな目はピンホールアイと言って非常に発達した台風の特徴の一つであることを少し前に記事にしました(⇒「爆弾台風とピンホールアイ」)。

1.目が大きくなった

ところが衛星画像で見ると、ある時から この目が急に大きくなっていて「普通の大きさ」になっていました(2番目の衛星画像)。

衰えたのかというと中心気圧で見る限り、同じ 915hPa のまま変わりはありません。何があったのでしょう?

2.世代交代

これにはアイウォール(壁雲)の世代交代が関係しています。この現象について「図解 台風の科学(講談社)」で次のような説明が載せられています。

『アイウォールの世代交代は、台風中心から遠い外側に新しいアイウォールが生じ、それまであった内側のアイウォールが衰弱して、やがては残骸となり消滅します。

世代交代の過程では、一時的にアイウォールが二重になります。眼の周囲を壁が二重に囲む様子から、二重眼と呼ばれています。(中略)

最大風速が60メートルを超えるような台風に限れば、8割の台風で二重眼やアイウォールの世代交代が観測されています。』

19号でも一時期、二重の目が見えたと伝えられています。

3.世代交代の仕組み

この世代交代をイメージ図で表現しました(「図解 台風の科学」掲載の図を参考にしています)

上が世代交代する前、下が後の台風の断面図です。矢印は上昇気流です。中心からの距離によって3色で色分けしています。

A.  急激に気圧を下げた後は断面図の上側の様に目がギュッと締まっていました。

この時、中心付近の青の矢印の上昇気流が最も強く台風のアイウォールを作りだしています。ここで世代交代が起きると次の流れが生じます。

B. アイウォールの外側の赤の矢印の上昇気流が次第に強くなっていき、雲が発達していきます。

すると周辺から集まって来る水蒸気をたっぷり含んだ空気も、本来のアイウォールの下に到達する前に赤の矢印のところで上昇してしまいます。

こうして、ますます中心の外側で上昇気流が強まり雲が発達していきます。

C. 反対に本来のアイウォールを作っていた青の上昇気流は弱まっていき、雲は次第に消滅に向かいます。一方、外側では新たなアイウォールが出来つつあります。

D. この過程の途中には新旧2つのアイウォールが存在する段階があり、衛星画像では2重のアイウォールとして映ります。

E. 最終的に最初のアイウォールはなくなり、後からできたアイウォールが完成します。

F. 目の大きさで見ると、図にあるように最初は小さな目だったのが、世代交代した後は目が大きくなっているのが分かります。

このようにして台風は勢力を落とさずに目だけを大きくする技をやってのける訳です。

なぜ世代交代が起きるのかという部分については、深入りしそうなので ここでは取り上げません。詳しくは先ほど引用した「図解 台風の科学」で説明されています。

目の大きさや形だけを取っても台風ってなんか不思議ですよね。個性を持った人の一生を見ているようです。

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