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台風19号は風台風?(2019年台風19号3)

雨台風、雨がなければ風台風・・だったかもしれません。

東日本を中心に甚大な大雨被害をもたらした台風19号は雨台風という印象が持たれています。59の河川で堤防が決壊し70人を超える死者が出たことを考えれば、確かにそう言えるでしょう。(2019/10/17の朝の時点)

1.記録的暴風を警戒

でも多くの人は、台風上陸の前日までは主に暴風による被害を警戒していたのではないでしょうか?何と言っても猛烈な勢力で日本に近づき、非常に強い勢力のまま上陸すると予想されていましたし、最大瞬間風速 60m/s と言われていましたから。

約1か月前の台風15号で風速60m/s 近い暴風を経験した千葉県の被害の印象が未だ強く残っていた上、コースも15号とほとんど同じでしたから。

南関東の多くのホームセンターでは窓ガラスに貼る養生テープが売り切れてしまいました。私もネットで養生テープ、買いました。大きな窓ガラスのある2部屋分には1個では足りなかったです・・

2.さて、実際は?(私の印象では・・)

実際にどのくらいの暴風が吹いたかは地域や地形によって違うでしょうが、私が住んでいた辺りでは暴風圏に入っても、それほど風は強くなりませんでした。半面 強い雨は降り続いて、例の避難勧告の緊急メールや防災無線がひっきりなしに鳴り続けていました。やはり雨台風という印象でした。

でも台風が最接近、というかほぼ真上を通る頃には急激に風が強まり、暴風で我が家(鉄筋コンクリート造りの集合住宅)もガタガタと揺れ、窓のない部屋にいても風を感じました(ボロイだけ?)

前回の15号の時は徹夜をして窓を少し開けて外の嵐を眺めていました。しかし、今回の台風では「記録的な暴風になる」と何度も気象庁が言っていたので、外を眺めたい衝動を抑えて身の安全を第一に部屋でじっとしていました。

風について意外だったのは暴風圏が広いため長時間の暴風を警戒していたのに、実際はごく短時間だったということです。もちろん、我が家での話ですが。参考までに気象庁の資料でも東京で最大瞬間風速が連続して 25m/s 以上だった時間帯は1時間あまり(10分ごとの値)でした。

それでも友人の一人は家の屋根の一部が損壊したと言っていました。別の友人はサンルームの屋根が飛んだと言っていました。

3.3つの台風を比べてみれば

そこで今回の2019年19号台風とその前の15号台風、それに昨年の2018年24号台風の風について調べてみました。いずれも南関東に暴風をもたらした台風です。

矢印は台風の進路です。2018年24号は群馬県あたりを通って行ったので、この地図には示されていません。

表ではそれぞれの台風の最大瞬間風速と歴代観測順位(10位以内)を載せています。

● 2018年台風24号(関東接近時970hPa

この台風の最接近時の中心気圧は高めで南関東からは距離も離れていましたが、速度が速く関東は危険半円に入ったので暴風となりました。東京と千葉の風速は歴代4位です。

● 2019月年台風15号(関東接近時 960hPa

この台風は東京湾のど真ん中を通り、進行方向の右側(危険半円)に入った千葉市で観測史上最大の風速 57.5m/s を観測し、房総半島では多くの家屋の屋根が損壊し長期間の停電となりました。

でもコンパクトながらも強い台風だったので、進行方向の左側(可航半円)でもかなりの暴風となりました。中心に近い横浜では歴代6位で40m/s を超えました。

● 2019年台風19号(関東接近時 960hPa

では今回の2019年台風19号はどうだったかと言うと、「記録的な暴風」と言える数値でした。

台風が来る前には最大瞬間風速60m/s で15号台風と同程度かそれ以上の暴風が広い範囲で吹く、しかも暴風圏が広いので暴風が長い時間続くと警告されていました。

それを何度も聞かされていたので、我々の感覚としては拍子抜けしたと言わざるを得ません(拍子抜けして良かったのですが)。

でも、こうやってデータを見ると、東京は歴代2位横浜は3位となる風速を観測したのですから、記録的と言っていいと思います。ちなみに東京、横浜とも第1位を観測したのは80年以上前の1938年です。

恐れていた高潮による目立った被害はなかったようですが、川崎沖の貨物船沈没は暴風と高波が原因だったかもしれません。雨による被害がここまで大きくなければ風台風と呼ばれていたかもしれませんね。

4.記録的大雨の強力な警告

我々一般人は雨と風、どちらかに注意を傾けがちですが、気象庁はどちらも深刻な状況になることを警告していました。

特に雨については臨時の会見の中で「狩野川台風」の再来のような表現を使っていたので、相当な危機感を持っていたことが分かります。

この台風、いずれ気象庁が名前を付けるようですが、被害が大き過ぎるので、何と命名したらよいのか職員の方たちも悩ましいでしょうね。