大阪など関西、四国に暴風をもたらした2018年台風21号は鉛直シア―が小さいため、あまり勢力を落とさずに上陸した、とのことです。
先日(2018/09/10)NHK総合で放映された「クローズアップ現代+『暴風高潮・恐怖の瞬間 台風で何が?』」で、海洋研究開発機構の中野満寿男研究員の解説が取り上げられていました。その説明を説明します。
1.鉛直シア―が台風を崩す
まず、次の図を見てください。上下で分かれています。
ちょっと分かりづらいかもしれないので説明します。
●矢印の長さ:風の強さ
●紺色の矢印:上空の風
●青い矢印:海上近くの風
●矢印の長さの差(風の強さの差):鉛直シア―
●図の右側の絵:台風と書いてありますから台風です
通常日本に接近する台風の場合(図の上側)
鉛直シア―が大
⇒上空の風に流され台風の形が崩れる
⇒勢力が弱まる
上層と下層で風の強さが違うと、台風の上部だけ風に流されて形が崩れるということだと私は理解しました。
台風21号の場合(図の下側)
鉛直シア―が小
⇒台風の形が崩れない
⇒勢力が保たれる
上層と下層の風が同じくらいだと上下の風全体で台風を押していこうとするので形が保たれるという理屈でしょうか。
2.台風21号の進路について
上記は21号の進路図と鉛直シア―の小さい海域を重ねたものです。
このエリアはあくまでイメージです。番組では鉛直シア―の大きさによって色付けされた詳しい動画がありました。
この図で分かるように台風21号は丁度鉛直シア―の小さい海域を進んできたために、あまり勢力を落とさずに日本列島にやってきて、記録的な暴風と高潮をもたらしたということです。
台風の勢力を見極めるには海水温とともに鉛直シア―の大きさも考慮する必要があるんですね。