山があるから風がさえぎられるだろう。台風が来た時にそう考えがちですが、真逆なことが起きるかもしれません。
2018年台風21号の高潮と暴風によって関西空港は麻痺状態に陥りました。滑走路は水没し連絡橋は船の衝突で損傷し、その映像は海外のニュースでも出ずっぱりでした。
山があるから大丈夫
船を走行不能にした猛烈な風について、TBSテレビ「ひるおび」(2018/09/13) の中で気象予報士の森朗氏が説明していました。
それによると、橋に衝突した船の船長は、南東から暴風が吹いても紀伊山地に妨げられ風は弱くなるだろうと判断したそうです。
確かに山は防風林のように強い風をさえぎるというのが常識ですよね。
でも今回の半端ない暴風にはその常識は通用しなかったようです。
山があるから大丈夫じゃない
次のイメージ図を見てください。
図の右上の関西地方の地図から説明します。
● 赤丸で囲んだ所に関西国際空港の人口島があります。
● 台風が南から接近してくると、人工島に向かって南東から風が吹いてきます。
● 南東風は紀伊山地にぶつかります。
ふつうの台風
次に図の左上の絵を説明します。
● 通常の強風の場合、紀伊山地は風よけの役目をして風の勢いを弱めます。
● その結果、大阪周辺ではあまり強い風は吹きません。
非常に強い台風(21号)
次に図の下側の絵を説明します。
● 南東の風は既にかなりの暴風となっています。
● 風は山の上の方で一旦たまります。(これは風が集中して圧縮されるという意味かもしれません。)
● たまった風は一気に山を下り、さらに強い暴風となります。
● 暴風は平地に向かってさらに強さを増していきます。
● 海に囲まれた関空島は暴風をさえぎるものはなく、最大瞬間風速 58.1m/s を記録しました。
森さんによると、山があることで風が強くなることはよくあるそうです。
最大瞬間風速60m/s の台風ではこれまでの常識は捨てた方がいいということですね。
今は、フィリピンに向かっている 905hPa の猛烈な台風22号(マンクット)とアメリカ東海岸に向かっているハリケーン・フローレンスがどうなるか心配です。