スカイツリーより高く、箱根山より低いあたりまでの大気を大気境界層といいます(定義が違う!)
前回の記事で大気の鉛直構造のおおまとめの図を載せました。その図の右側部分に大気境界層の3層構造を表現しました。
そもそも大気境界層とは何でしょうか?考えていきます。上の図を参照してください。
1.大気境界層と自由大気層
大気境界層
● 地表面における摩擦や熱の影響を受ける層
● 地上風が吹く
自由大気層
● 地表面における摩擦や熱の影響をほとんど受けない層
● 地衡風が吹く
2.厚さ
図にあるように大気境界層の平均的な厚さは高度1kmほどです。
この数字は様々な条件によってかなり異なってきます。そのうちの幾つかを挙げると
緯度:熱帯地方では2kmほどになる
風:風が強い時は高度3kmほどになることもある
日変化:日の出後は大きくなり、日没後は小さくなる
対流活動:活発な時は大きくなる
3.区分
大気境界層は3つの層に分けられます。地上に近い方から
接地層
● 地表面に接し、高度は 数十m(10m から 100m)くらいまで
● 摩擦力の影響を強く受ける。
摩擦層
● 接地層の上の大半を占める
● 摩擦力は高度とともに減少する
移行層:最上部の 200m ほどの厚さ
4.役割
地上付近の熱・水蒸気・運動量の鉛直輸送
大気境界層では、地表面の起伏や温度の不均一によって乱流や乱渦が発生します。それによって効率よく熱や水蒸気を鉛直方向に輸送します。
乱渦や乱流については別の機会に取り上げるつもりです。