左カーブで東から来る台風は危険かも。観測史上初めて東北地方の太平洋側に上陸した2016年台風10号がまさにそうでした。そして2018年台風12号も・・
2016年台風10号は日本の南海上でうろうろした後、しばらく北東に進み、なぜか関東の南東海上で左カーブして岩手県大船渡市付近に上陸しました。そして北海道と東北に大きな被害をもたらしました。
犯人は寒冷渦
2016年10号台風が左カーブという珍しいコースを取った理由について調べてみると寒冷渦が関係しているようです。以下、幾つかの資料から特徴を挙げると
● 左カーブした理由
日本海にある寒冷低気圧(寒冷渦)に吹き込む反時計回りの風の影響があった。
※ ウィキペディアでは寒冷低気圧と藤原の効果を起こしたと記述されています。
藤原の効果については別の機会に取り上げると思います。
● 寒冷渦による大雨
台風の直接的な影響が小さい西日本でも寒冷渦と台風の湿った空気の影響で大気の状態が不安定になり、大雨が降った。
寒気の影響で西日本では連日の猛暑が解消した。
今回の寒冷渦と台風12号の特徴と似ていると思いませんか?
危険な台風
また、TBSテレビ「ひるおび」の中で気象予報士の森朗さんは東からやって来る台風の危険性について幾つかの点を挙げていました。イメージ図を見てください。ここでは関東を例にとって考えます。
1.急いでやって来る
通常の台風のコースでは南日本から関東まで長い距離があり、だんだん近づいて来るという印象があると思います。
でも東から来る台風についてはいきなり近づいて来る印象があります。
図の左側は通常よくある台風のコースを青で12号を赤で表しています。
青い線と赤い線を真っすぐにして並べてみると赤が短いことが分かります。
2.大雨の降り方が違う
図の右側、関東地方の地図を見てください。ちょっと分かりづらいかもしれませんが少しずつ説明します。
a) 図の上側 (よくある台風のコースの場合)
青の矢印⇒台風のコース
薄い緑⇒関東平野を取り巻く山地(関東山地)
黄色の矢印⇒風の向き
この場合、風は関東平野の南東方向から吹いて来て関東山地の内側、つまり東側で発達し大雨を降らします。
b) 図の下側(台風12号が関東の南東方向から接近すると仮定した場合)
この場合は、風は関東の北西方向から吹いて来て関東山地の外側(西側)で大雨となります。(実際には台風の位置によって違ってくるでしょうが)
関東を例に取りましたが、他の地方でも普段考える台風の雨の降り方と違う降り方がする恐れがあります。東からやって来る台風が危険な理由はここにもあるかもしれません。
この記事は7月26日時点のものですが、実際はどうなっているでしょうか?