地衡風(気圧傾度力+コリオリ力)

ここからは5種類の風について取り上げていきます。

風といっても私たちが感じる北風とか海風といった身近な風の種類とは違います。

以前の記事「大気の力学と運動」に載せた表を見てください。

最初に取り上げるのは「地衡風」です。

丁度コリオリの力気圧傾度力、二つの力を受けた部分が地衡風です。

つまり、地衡風は気圧傾度力とコリオリ力のバランスが取れた状態で生じるということです。

下記の図はどのような経過をたどって地衡風が生じるかを示しています。

大雑把に言うと高気圧から吹き出した風が右に曲がって行き、最後には等圧線と平行に吹くようになる、という感じですね。

これが地衡風? だいたいそうですが、もう少し順を追って解説します。まずはベクトルから。

ベクトルについては多分、高校の数学で習ったと思いますが、風のベクトルについて簡単に説明すると、

● 風ベクトルとは 風向⇒矢印の向き、風速⇒矢印の長さ で表現したものです。

コリオリの力とベクトル

● コリオリ力は風のベクトルに対し直角右向きに働く(北半球)。

● コリオリ力の大きさは風速の大きさに比例する。

気圧傾度力とベクトル

● 風は気圧傾度力の働く方向に向かって吹く(コリオリ力を考慮しない場合)

● 風の強さは気圧傾度力の大きさに比例する。

では、ただの風が地衡風に変化する過程を考えましょう。

1.風の吹き始め

高気圧と低気圧との間に気圧傾度があるため、高気圧から低気圧に向けて気圧傾度力が生じます。この例では等圧線(縦縞)が湾曲していなく平行であるとしています。

風は気圧傾度力により、等圧線と直角の方向へ吹き始めます。

当初は風がとても弱いのでコリオリ力は生じません。

2.コリオリ力が働き始める

気圧傾度力は働き続けるので次第に風が強くなっていきます。

するとコリオリ力も風に対して働き始めます。

コリオリ力は風に対して直角に働き、風の大きさに比例して大きくなります。

コリオリ力により風の向きがやや右に変わっていきます。

3.風の向きがさらに右側に変わっていきます。

気圧傾度力により風はさらに強く吹き、コリオリ力も強くなっていきます。

4.風の向きは等圧線に対して平衡に近づく。

これまでと同様の仕組みで風の向きは吹き始めの時と比べると、かなり右に片寄っています。

5.地衡風が生じる。

最後に風の向きは等圧線と完全に平行になり、この状態の風を地衡風と呼びます。

「最後に」と言うのは、風の向きはこれ以上 曲がることはなく、風の強さもこれ以上増すことはない、という意味です。

なぜなら地衡風が生じる段階では、気圧傾度力とコリオリ力が反対方向に、同じ大きさで働くからです。この気圧傾度力とコリオリ力がつり合った状態を「地衡風平衡」といいます。

地衡風は上空の風で、地上ではこのような吹き方はしませんよね。

以前の記事で西高東低冬型の気圧配置の時に、地衡風、傾度風、地上風がどのような向きで吹くかについて記事にしました。

⇒ 風向きは力のバランスで決まる(西高東低の場合)

もう一度そのイメージ図を見てください。

上空では地衡風は等圧線に平行に吹き、この気圧配置ではほぼ北風になっているのがわかります。

地衡風を踏まえて傾度風、地上風もこれから取り上げていきます。