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コリオリ力を感覚的に理解しようー地球編(コリオリ力3)

そもそもコリオリ力なる ややこしい概念を学ばなければいけないのは誰のせい?

地球のせいです。地球が球体で自転しているからです。

ここで地球儀(の平面図)を使って過去2回の記事の復習をします。

よかったら、それらの記事も読んでください。

⇒ 「コリオリの力(転向力)を感覚的に理解しよう No.1(コリオリ力1)

⇒ 「コリオリ力を感覚的に理解しよう No2.(コリオリ力2)

1.3次元から2次元へ

さっそくイメージ図から説明をします。

左上に地球儀(の平面図)がありますね。前回の記事では地球を回転する円盤に例えました。

今回は回転する円盤を自転する地球という本来の意味に戻して考えます。

本当は実際に地球儀を取り出して実験してみるのがいいのですが、ここでは無理です。

球体という立体的(3次元)なものを、その平面図(2次元)に直して考えなければなりません。これがコリオリ力を理解するのをさらに難しくしています。でも悩んだらきりがないので やめておきます。

2.地上と上空の見え方の違い

大きなスケールの気象現象の場合、それをどこに立って見るかが重要になってきます。それを地球と人工衛星で例えて考えます。図の下側の4つの地球を見てください。左上の地球から説明します。

 【2-1 宇宙から見た場合】

今、北緯65度付近のベーリング海峡上空の人工衛星が真南に向かって真っすぐ飛んでいるとします。

6時間後(右の図)の位置を見てください。人工衛星は北緯15度付近にまで南下しています。

人工衛星の進む方向は変わっていませんが、地球が自転しているため、人工衛星の位置はベンガル湾上空になっています。黒い矢印が宇宙から見た人工衛星の軌跡です。

【2-2 日本から見た場合】

日本にいて、この人工衛星を見るとどうなるでしょうか?

最初、人工衛星はベーリング海峡あたりにいますから日本から見ると北東方向の空に見えるでしょう。

6時間後はどうでしょう?人工衛星はベンガル湾上空、つまり日本から見て南西方向上空に見えるでしょう。青い矢印がその軌跡です。

つまり、自転している地球上から見ると、人工衛星は真南ではなく南西方向に飛んでいることになります。しかも、この後 考えますが、その軌跡は真っすぐどころか曲線を描いて飛んでいるように見えます。

このように視点が違えば相手の動きも違って見える、これが「見かけの力」の「見かけ」に結びつきます。

3.緯度による自転速度の違い

地球の自転速度は赤道で最大になり緯度が高くなるに連れて小さくなっていきます。図の一番上の地図を見てください。

これは北極(N)を中心とした地図です。地球が4分の1 回転すると(約6時間後)、北極に近い高緯度では物体は青い矢印で表した短い距離を移動します。言い換えれば自転速度は遅いです。

一方、もう少し北極から遠い、つまりもう少し低い緯度では物体は紫の矢印で表した長い距離を移動することになります。言い換えれば自転速度は速いです。

この違いがあると、先ほどの地球上から見た時の物体の動きは直線ではなく曲線になります。

この辺りの理屈は前回の記事を参照してください。

4.実態がないけど大切なコリオリ力

このように自転している地球の上空を物体が移動するとき、その物体は異なる緯度を横切るため、地球とともに動いている我々からすると、物体が何かの力を受けて進行方向が曲がっていくように見える時、この見かけ上の力をコリオリ力と呼ぶ、そういう意味になります。

厳密な定義は別として初心者が感覚的に掴むには、このような説明が納得がいくと思いますが、どうでしょう。

「みかけ」と言っても「見かけ倒し」ではありません。気象現象の多くに直接的・間接的に関わってきます。

ただ、赤道付近を東西方向に飛ぶ物体は緯度をまたがないのでコリオリ力は働きません。

注:イメージ図の右端では、赤い矢印をコリオリ力としていますが、実際のコリオリ力のベクトルを示しているわけではありません。

ここで、コリオリ力の意味を説明した資料を幾つか引用します。

『自転する地球では、運動する物体に対して進行方向を曲げる力が直角に働いている。これをコリオリの力(転向力)という。』(「プロが教える気象・天気図のすべてがわかる本」ナツメ社 岩谷忠幸監修)

北半球で物体の進む方向に対して右に反れるように進む軌跡は、地上にいる人から見れば進行方向の右向きになんらかの力が働いたように感じます。この見かけ上の力をコリオリ力といいます。』(「気象予報士かんたん合格テキスト 一般知識編」技術評論社)

北半球では、地球の自転の影響で風は右へ右へと曲げられる。コリオリ力は風に対して直角に右にはたらくが、実際の力ではなく自転によって力が作用しているように見える「見かけの力」。』(「気象学のキホンがよ~くわかる本 第3版」秀和システム)

このコリオリ力が気象学において重要な「風」、つまり地衡風を作り出します。

地衡風を始め「~風」と呼ばれる現象や関係する「~力」については「大気の力学と運動」の項目の各記事を読んでください。