500mlの缶コーヒーも350mlの缶コーヒーも手を離せば下に落ちる。
決して350mlの缶コーヒーが空に昇っていくことはない。
では軽い空気が上昇するのはなぜ?
普通に考えれば缶コーヒーの下には空気しかないのだから落ちていくのは当たり前。
でも空気の塊の場合は下にも上にも横にも空気があるので・・・どうなるのだろう?
相対的に軽い方が上に行くのは感覚として分かります。
それでも上に行くのは重力に対抗する訳ですから重力とは反対の向きの何かの力があるはず。
先に結論を言うと「気圧傾度力」(気圧差によって生じる力)と呼ばれる力です。
気圧差というと高気圧と低気圧といった水平方向での気圧差がまず思い浮かびますが、ここで考えるのは鉛直方向(真上、真下)の気圧差です。
まず(大)気圧(大気の圧力)そのものについて整理して考えたいと思います。
気圧について考えるには次の二つの要素を理解する必要があります。
A 気体の、つまり空気分子の重さによる気圧
B 空気分子の運動による気圧
気圧傾度力はB(運動)の要素を考える必要があるのですが、その前にまずはA(重さ)について考えます。
Bについては次回以降の記事で扱う予定です。
大気を構成する分子にも質量があるので、真上から真下に向かって重力が働き地面や水面に圧力をかけます。
でも高い山と海とでは上にのしかかる空気分子の量が違うので気圧も違うはずです。
そのことを上の図で説明しています。
以前の記事で空気の一部を切り取った空気塊(気塊)を使って空気の密度や重さについて考えましたが、同じような考え方で「気柱」について考えてみます。
上の図で山や水面の上にある柱のように表現したものが気柱です。
実際には細長い直方体なんですが、描くのが難しいので(手抜きですみません)長方形で描いています。
高い山の上の気柱は短いので、そこに含まれる空気の分子の数は少ないです。
よって気柱の重さは軽く、地面を押す気圧は低くなります。
一方、水面のように低い所の上の気柱は長く、そこに含まれる分子の数は多いので、気圧は高くなります。
また気柱の中でも、高度が低くなるにつれ大気は重力によって圧縮されていきますので、空気分子の密度は高くなり、余計に気圧が高くなります。
この 下に行くほど密度が高くなる という部分が気圧傾度力と関わってきます。
その訳は次回以降の記事で書いていきますね。
1-2 軽くなった空気はなぜ上に行くのか? を考える前に…
〈 気圧の2要素 〉 とは
A 分子の重さ
B 分子の運動