高気圧の成立ちには A.気温が関係する場合 と B.地球規模の大気の流れが関係する場合があります。この違いが高気圧の背の高さの違いともなります。
天気予報の解説でも時々「背の高い高気圧なので・・」という表現が使われますね。
今回と次回の記事で高気圧の身長について調べます。
1.別物の高気圧
2018/06/28 の記事「高気圧の上空は低気圧?(気温と気圧の関係)」で、大気の温度が周りと比べて低い場合、上空で低気圧、地上で高気圧になると説明しました。
その上でこの仕組みはあくまで背の低い高気圧に当てはまることも述べました。
それで今回は背の高い高気圧がどういう仕組みで生じるのかを背の低い高気圧と比べながら考えていきます。
ただ、ここでは大気力学を理解するために必要な基礎知識の一つとして考慮するので、高気圧そのものの様々な種類などについては別の機会に取り上げる予定です。
2.背の違う高気圧の例
A.寒冷高気圧(背の低い高気圧)
基本的な要素:地上の気温
代表例:冬のシベリア高気圧
B.温暖高気圧(背の高い高気圧)
基本的な要素:地球規模の大気の流れ
代表例:夏の太平洋高気圧
上記を例に取って2種類の高気圧の成立ちを追っていきます。まずは図の左側に注目してください。
3.寒冷高気圧の成立ち(シベリア高気圧)
1 放射冷却などにより地上付近の気温が下がる
2 空気が重くなり(密度が高くなり)下層で高気圧となる
3 高気圧の中心から空気が周囲に吹き出して行く ❶
※ただし、空気が冷やされるのは地上から2kmくらいまでで、それより上空では空気の冷却はありません。よって高気圧にはなりません。
「背の低い」高気圧と呼ばれるのはこのためです。
4 地上付近で吹き出された空気を補うため上空から空気が下がって来る ❷
5 気柱として考えると、地上付近の空気の圧縮により全体として体積が減っているので、中層以上では低気圧となっていて周囲から空気が流れ込む ❸
6 結果としてその分の空気が下降して空気の補充がされる
7 下降した空気は再び地上付近で冷やされ背の低い高気圧の状態が保たれる
4.下から上へ
このように寒冷高気圧の場合、高気圧を生み出す原因は「下」にあり、その影響が「上」に伝わっていくという仕組みになっています。
次回は背の高い高気圧について掘り下げていきます。
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