光と大気と水は気象現象にかかわる3つの要素です。特に光は大気運動を引き起こす主なエネルギー源となります。
この記事から始まる放射のカテゴリーでは、太陽から放たれる光が地球大気にどのように働くかを考えていきます。
初めに放射のカテゴリーで扱う項目を簡単に箇条書きでまとめてみました。
後半で最初の項目「放射とは」に入ります。
0.放射で学ぶ項目
1)放射とは
● 放射にかかわる言葉の定義
● 電磁波の種類
2)放射強度と太陽高度角
● 地球と地表面が受ける太陽放射強度
● 南中高度角の求め方
3)放射強度に関わる法則の要素
● 距離
● 黒体
● 物体の温度
● 波長
4)太陽放射と地球放射
5)放射と大気
● 電磁波と大気
● 熱収支
● 温室効果
以上となります。記事を書き進むに連れて修正があるかもしれません。
また、放射関連の記事は以前にも少し書きましたが、この記事から本格的にまた体系的に取り上げていきますので、お付き合いくだされば嬉しいです。
1.放射とは
1-1. 定義
まずは箇条書きした項目の最初の部分である放射に関する言葉の定義をまとめてみました。より正確な表現が分かったら修正します。
◆ エネルギー・・仕事をする能力
◆ 温度・・暖かさ冷たさの度合を示す数値
◆ 熱・・高温の物体から低温の物体へ移動するエネルギー
◆ 電磁波・・電界と磁界との変化が波動として空間を伝わっていくもの
◆ 波長・・波の山から山または谷から谷までの長さ
◆ 放射・・物体が電磁波を放出すること、
または放出された電磁波そのもの
別の見方をすると、電磁波によるエネルギーの伝達
◆ 熱放射・・物体を構成する原子や分子から、温度に依存する電磁波が放出されていること
もう少し詳しくいうと、物体がその温度に応じて内部エネルギーを電磁波に変換し放出、または吸収することで高温物体から低温物体へのエネルギー移動が生じる現象
◆ 放射強度・・ある平面の単位面積に単位時間当たり入射する放射エネルギー量
あるいは、物体の単位面積から単位時間に放射されているエネルギー量
分かりやすくいうと、1m2の面積の中を通り抜ける放射の強さ
◆ 放射量・・放射の総量
以上を踏まえて太陽から地球への放射をイメージ図にしました。この図は以下の過程を表しています。
1-2. 太陽から地球への放射
● 太陽のエネルギーが電磁波として放射される
● 届いた電磁波を地球が吸収する
● 電磁波のエネルギーが大気の熱エネルギー、さらに運動エネルギーに変わる
1-3. 電磁波の単位
電磁波は波長の違いによって物理的性質が異なってきます。上の図で波長の種類を非常におおざっぱに表しています。
上の図では右に行くほど数字が大きく、つまり波長が長く、左に行くほど数字が小さく、つまり波長が短くなっています。波長の単位はこのようになっています。
1m の1/1000 が 1mm(10-3)
1mm の 1/1000 が 1μm(10-6)
1μm の 1/1000 が 1nm(10-9)
μm はマイクロメートル、nm は ナノメートル といいます。
1-4. 電磁波の種類
電磁波は波長の長い方から以下に分類されています。
◎ 電波
この中には気象に関係するマイクロ波(波長数cm~数十cm付近)がありレーダーに使われています。
◎ 光(広義)
赤外線、可視光線、紫外線に分けられます。
◎ 光(狭義)
日常で使う光という言葉は可視光線のことで、人間の目に見える波長の電磁波です。数値にすると0.39μm(390nm) から 0.77μm(770nm) の間になります。
可視光線は波長の短い方から紫、青、緑、黄、橙、赤となっています。
紫よりさらに短く人間の目に見えない波長が紫外線、同様に赤より長い波長が赤外線です。
◎ X線
◎ ガンマ線
次回は地球の公転、自転によって地球表面が受ける放射エネルギーがどのように変わり四季が生まれるかを考えます。