散歩している元気な犬にとって分子間力が何なのか良く分かっていると思います。
前々回と前回の記事で分子間力を断ち切るために必要な熱エネルギーは潜熱の一つであることを述べました。その点をイメージし易いように犬の散歩で説明します。
1.登場犬物の説明
◎ 茶色の雄犬 ...水分子
◎ ピンクの雌犬 ...雄犬のお気に入り
◎ 赤いハート ...水分子が吸収する熱エネルギー(=水分子に加えられる熱エネルギー)
◎ リード ...分子間力
◎ 犬と人間との距離 ...分子の熱運動の激しさ(=温度)
◎ 人間 ...他の水分子とも言えますが、ここではあまり気にしないでください。
2.恋の潜熱
❶ 雄犬は気に入った雌犬の後をテクテク付いて行きます。リード(伸縮しないタイプ)が繋がっています。
⇒ 水分子に熱エネルギーが加えられますが、まだ熱運動はそれほど活発でなく、分子間力が働いています。
❷ 犬はさらに前に進み、リードはピンと張っています。
⇒ 水分子の運動が激しくなりますが、まだ分子間力が働いています。
❸ 犬はさらに前進しようとしてこれまでと同じ力を出し続けていますが、リードのせいでこれ以上前に進めません。リードの束縛から逃れようと赤くなってハーハー言いながら頑張っています。
⇒ 水分子に加えられる熱エネルギーは分子間力を断ち切るために使われているので、水分子の熱運動の激しさは変化しません。
❹ やっとリードの束縛から解放された犬はまた歩き始めます。
⇒ 水分子の分子間力は断ち切られ、水分子の熱運動は増加し始めます。
結局、犬を歩かせる恋の熱エネルギーによって前に進ませる(温度を上昇させる)のが顕熱で、ハーハー言わせる(分子間力を切っていく)のが潜熱です。
何となく潜熱のイメージがつかめたでしょうか?今回は水分子が熱を吸収するケースを考えましたが、逆に熱を放出する場合はどうなるでしょうか?次回、その点を取り上げます。