ヒマラヤ山脈と親潮、それが日本らしい梅雨を作るカギです。
日本の梅雨と言えばオホーツク海高気圧。ではオホーツク海高気圧発生の仕組みと特色はどのようにして出来上がるのでしょう?地球規模で考える必要があります。
大きく分けて2つの要因があります。もう答えを言ってしまいましたが、イメージ図から説明していきます。
1.寒帯前線ジェット気流(図の上側の青い曲線)
冬季には寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が合流して日本上空にかかります。
冬が過ぎると2つのジェット気流は別れ、梅雨の時期には寒帯前線ジェット気流はかなり北上しています。
2.亜熱帯ジェット気流(図の下側のオレンジ色の曲線)
オホーツク海高気圧発生に関わるのは特にこちらの亜熱帯ジェット気流です。
冬から夏へと亜熱帯ジェット気流は南から北へと移動していきます。
梅雨前には亜熱帯ジェット気流はヒマラヤ山脈の南側にあります。
梅雨後にはチベット高原の北側にあります。
では、梅雨の時期にはどこにあるのでしょうか?
3.分断するジェット気流
梅雨の時期になると亜熱帯ジェット気流はヒマラヤ山脈・チベット高原の上空を流れる位置まで北上します。
しかし高度8,000mを越すヒマラヤ山脈、平均4,000mのチベット高原に行く手を阻まれてしまいます。
で、どうするか? 北ルートと南ルートに分かれることになります。(東名高速にもそういう区域があります)
図ではそれぞれのルートを2つの曲線で示していますが、この位置は大まかにイメージを掴むためのもので厳密なものではありません。
4.南ルート
イメージ図では南ルートのジェット気流が日本上空にあります。梅雨前線も南のジェット気流付近にあります。
南ルートのジェット気流はオホーツク海の南側に進みます。
5.北ルート
一方、北ルートのジェット気流はチベット高原付近で北に持ち上げられ、その反動で大きく蛇行しながらオホーツク海の北に進みます。
6.高気圧の発生
6-1 ジェット気流の合流
南北に分かれた亜熱帯ジェット気流はオホーツク海付近で合流します。さらに寒帯前線ジェット気流もこの近くで合流する場合があります。
複数のジェット気流が合流すると風の収束(空気が集まる)が起こり、行き場を失った空気の一部は下降気流となって高気圧を発生させます。
6-2 ジェット気流の蛇行
北ルートの亜熱帯ジェット気流はオホーツク海付近で北に大きく蛇行し気圧の尾根を作ります。その東側では南に蛇行して気圧の谷を作ります。
上空の気圧の谷の西側では風の収束が起こり下降気流によって地上に高気圧が作られます。このプロセスについては一連の傾圧不安定波についての記事で詳しく扱っています。
これら2種類の収束によってオホーツク海付近に高気圧が発生します。
7.親潮で冷やされる
オホーツク海高気圧はもともと温暖な高気圧のはずです。亜熱帯ジェット気流によって作られるので当然そうなるはずです。
しかし、オホーツク海は寒流である親潮が流れている冷たい海です。そのためオホーツク海高気圧は冷やされて冷たい高気圧に変化します。
また、風も海の上を通って湿気を含むようになり、低温・湿潤な高気圧に変容します。
以上、オホーツク海高気圧発生の仕組みでした。次回はいよいよ夏に入ります。(何が いよいよ なんだか・・)
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