前線付近では十種雲形のうち多くの種類の雲が出てきます。
4種類の前線付近にはそれぞれ対流雲か層状雲のどちらか、あるいは両方が見られます。
上記イメージ図から説明していきます。
0.始めに図の説明から
● 図の左側から停滞前線、寒冷前線、温暖前線、閉塞前線の順で描いています。
● 図の上端の3つの絵は前線を上空から見た様子を示しています。天気図と思ってくだされば大丈夫です。
● 下側は前線付近の寒気と暖気の境目、つまり前線面を鉛直構造で描いています。
● 対流雲の代表として積乱雲を描きました。(かなとこ雲が分かるでしょうか)
● 層状雲として色の濃い方から下層雲(乱層雲)、中層雲(高層雲など)、上層雲(巻層雲、巻雲など)を描きました。中層雲と上層雲はエビフライのようですね。手書きなので 😉
1.停滞前線(図の左側の緑の線)
梅雨前線や秋雨前線で代表される停滞前線は寒気と暖気の力がつり合って、あまり動かない状態の前線です。
停滞前線付近では乱層雲などの層状雲が主に見られます。もちろん梅雨末期の梅雨前線のように強烈な積乱雲が発生する場合もあります。
2.寒冷前線(図の真ん中の低気圧から出ている青い線)
鉛直断面図で分かるように、寒冷前線は寒気が暖気の下に潜り込むようにして進んで来ます。そのため暖気は無理やり鉛直方向に上昇させられる形で強い上昇気流が生じます。このため積乱雲などの対流雲が発生しやすくなります。
3.温暖前線(図の真ん中の低気圧から出ている赤い線)
鉛直断面図で分かるように暖気は温暖前線に差し掛かると寒気の上を這い上がるようにして緩やかに上昇していきます。上昇気流は弱く雲は水平方向に広がって行きます。この場合は乱層雲、高層雲、巻層雲、巻雲といった層状雲が生じます。
4.閉塞前線(図の右端の紫の線)
寒冷前線は温暖前線より早く進み、やがて温暖前線に追いつきます。温暖前線の前面の寒気と寒冷前線の背面の寒気が接したところが閉塞前線です。
閉塞前線上では対流雲と層状雲の両方が発生しやすいです。
今回は対流雲、層状雲とおおざっぱな分類分けしました。次回は低気圧周辺で発生する雲について詳しく取り上げます。