気象業務法が規定する罰則の覚え方

気象業務法第7章による罰則のまとめと覚え方を紹介します。

分かりやすくするため、条文に段落を付けたり文字に色を付けたりしています。また漢数字の多くはアラビア数字に変えてあります。

※ 一般に法律は複雑で解釈が難しいので、説明が正確でない場合もあるかもしれません。法令検索を使って各自確認してください。

1.破壊したら牢屋かも!

最も重い罰則は気象測器や警報の標識を壊したりした場合に科せられます。

◆ 第44条 

第37条の規定に違反したときは、その違反行為をした者は、3年以下の拘禁刑若しくは

100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」

 ◇ 第37条 

 「何人も、正当な理由がないのに、気象庁若しくは

第6条第1項若しくは第2項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測を行う者が屋外に設置する気象測器

又は気象、地象(地震にあつては、地震動に限る。)、津波、高潮、波浪若しくは洪水についての警報の標識

壊し移し、その他これらの気象測器又は標識の効用を害する行為をしてはならない。」

▶▶ 以前「懲役」とあったところが「拘禁刑」に変わっています。

2.秘密を漏らしたら牢屋かも

◆ 第45条 

「次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」

この条項は指定試験機関等の職員等を対象とするものなので、詳しい内容は省略します。

3.50万円以下の罰金

違反行為は7種類あります。

◆ 第46条 

「次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、50万円以下の罰金に処する。」

1. 検定合格違反

◆「一 第9条の規定に違反したとき。」

 ◇ 第9条は条文が長いのですが、大まかに言えば

『技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測に用いる気象測器

気象庁長官の登録を受けた者が行う検定に合格したものでなければ、使用してはならない。』

という規定です。

2. 無許可の予報業務

◆「二 第17条第1項の規定に違反して許可を受けないで予報業務を行つたとき。」

  ◇「第17条 気象庁以外の者が

気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務(以下「予報業務」という。)を行おうとする場合は、

気象庁長官の許可を受けなければならない。」

3. 認可を受けずに目的、範囲を変更

◆「三 第19条の規定に違反して認可を受けないで予報業務の目的又は範囲を変更したとき。」

 ◇ 第19条は、 許可を受けた者が予報業務の目的又は範囲を変更しようとするときは、気象庁長官の認可を受けなければならない、という内容です。

4. 気象予報士以外に現象の予想をさせた

◆「四 第19条の2後段の規定に違反して気象予報士以外の者に現象の予想を行わせたとき。」

5. 業務停止命令違反

◆「五 第21条(第26条第2項において準用する場合を含む。)の規定による業務の停止の命令に違反したとき。」

6. 気象庁以外が警報をした

◆「六 第23条の規定に違反して警報をしたとき。」

 ◇「第23条 気象庁以外の者は、気象、地象、津波、高潮、波浪及び洪水の警報をしてはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」

7. 無認可で観測の成果を無線で発表

◆「七 第26条第1項の規定に違反して許可を受けないで気象の観測の成果を発表する業務を行つたとき。」

 ◇「第26条 気象庁以外の者で、

その行つた気象の観測の成果を

国内若しくは国外の気象業務を行う機関、船舶又は航空機において

受信されることを目的とする無線通信により

発表する業務を行おうとするものは、

気象庁長官の許可を受けなければならない。

ただし、船舶又は航空機が当該業務を行う場合は、この限りでない。」

4.30万円以下の罰金

30万円以下の罰金が科せられるのは4種類あります。

◆ 第47条

「次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、30万円以下の罰金に処する。」

1. 業務改善命令違反

◆「一 第20条の2(第26条第2項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。」

 ◇ 第20条の2は条文が長いのですが、要は気象庁長官が出す業務改善命令についてです。詳しくは条文から確認してください。  

2. 観測立入り拒否

◆「二 第38条第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げたとき。」

 ◇「第38条 気象庁長官は、

気象、地象、地動、地球磁気、地球電気又は水象の観測を行うため必要がある場合においては、

当該業務に従事する職員を

国、地方公共団体又は私人が所有し、占有し、又は占用する土地又は水面に

立ち入らせることができる。」

3. 報告義務違反

◆ 「三 第41条第1項又は第3項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。」

 ◇ 「第41条 気象庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、第17条第1項若しくは第26条第1項の規定により許可を受けた者又は第7条第1項の船舶に対し、それらの行う気象業務に関し、報告させることができる。」

第17条第1項と第26条第1項は既に引用しましたが、予報業務の許可と無線通信についてです。

4. 立入り検査拒否

◆「四 第41条第4項又は第6項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。」

 ◇「第41条第4項 気象庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、

第17条第1項若しくは第26条第1項の規定により許可を受けた者

若しくは第6条第1項若しくは第2項の規定により

技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測を行う者の事業所若しくは観測を行う場所

又は第7条第1項の船舶に

立ち入り、気象記録、気象測器その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。」

5.20万円以下の過料

休廃止届出違反に関するものです。

◆ 第50条 

「次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の過料に処する。」

◆「一 第22条(第26条第2項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者」

 ◇第22条 許可を受けた者が予報業務の全部又は一部を休止し、又は廃止したときは、その日から30日以内に、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。」

◆ もう一つの号とは財務諸表等に関するものです。

6.罰則等の覚え方

◆ 50万円以下の罰金

表の太文字の読みをつなげると

<謙虚に死刑 無線で停止> となります。

◆ 30万円以下の罰金

<改善立入り検査報告>

これは表の太文字をつなげただけです。

◆ 20万円以下の過料

<298(ニッキュッパ)>

ニッ・・20万円

キュッ・・旧

パ・・廃止

という覚え方です。