ナウキャストは降水に関するものに加え、雷と竜巻に関しても発表されます。
加えて、雷注意報、竜巻注意情報というのもあって紛らわしいと思えるかもしれません。
今回は雷と竜巻などの突風に関して発表される情報をまとめてみました。
1.気象情報
『「気象情報」は、警報や注意報と一体のものとして発表し、現象の経過、予想、防災上の留意点等を解説するなど、防災上重要な情報です。』(気象庁サイトから)
竜巻に関していえば、半日~1日程度前に気象情報の中で竜巻に関して明記されます。
2.雷注意報
『雷注意報は、落雷のほか、急な強い雨、竜巻等の突風、降ひょうといった積乱雲の発達に伴い発生する激しい気象現象による人や建物への被害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。』(気象庁サイトから)
このように雷注意報は雷だけでなく、竜巻等の突風も対象としています。
それで竜巻の発生の可能性がある時は数時間前に雷注意報の中で、竜巻に関して明記され注意が呼びかけられます。
3.雷ナウキャスト
気象庁は、雷注意報において雷に関する注意や予報を補完する目的で雷ナウキャストを行っています。
雷ナウキャストは雷の激しさや雷の可能性を解析・予測するものです。上記の表(下にもあります)をご覧ください。
▶ 解析・更新間隔、予報時間、水平分解能については表の通りです。
▶ 予測内容
◇ 雷雲の移動方向に移動させる
◇ 盛衰の傾向
▶ レベル・・活動度を1~4に分けて発表しています。
■ 活動度4(激しい雷)・・落雷が多数発生している。
■ 活動度3(やや激しい雷)・・落雷がある。
■ 活動度2(雷あり)・・電光が見えたり雷鳴が聞こえる。落雷の可能性が高くなっている。
■ 活動度1(雷可能性あり)・・現在は雷は発生していないが、今後落雷の可能性がある。
活動度が2以上になったら屋外にいる人は建物や車の中に移動するなど、安全確保に努めるよう呼びかけられています。
▶ 解析方法
◇ レーダー観測(活動度1~4)
◇ 雷監視システム(ライデン)による雷放電の検知(活動度2~4)
『雷監視システムは、雷により発生する電波を受信し、その位置、発生時刻等の情報を作成するシステムです。(中略)気象庁では、この雷監視システムをライデン(LIDEN:LIghtning DEtection Network system)と呼んでいます。』(気象庁サイトから)
▶ 予測方法
◇ 雷雲の移動方向に移動させる
◇ 雷雲の盛衰の傾向を考慮
▶ 新たに発生する雷雲の予測
雷ナウキャストでは予測時刻の途中で新たに発生する雷雲は予測できません。
次のような解説があります。
『雷ナウキャストでは、降水ナウキャストと同様に移動予測が主な予測手法となる。(中略)
数値予報を組み込んでいないので、移動予測や盛衰傾向の予測では、予測時刻の途中で新たに発生する雷雲は予測できない。』(令和5年度第2回 気象予報士試験 模範解答と解説 東京堂出版 97ページ)
4.竜巻発生確度ナウキャスト
▶ 解析・更新間隔、予報時間、水平分解能については表の通りです。
▶ 予測内容・・竜巻・ダウンバースト等の突風発生の可能性の程度を発生確度として予測します。
別の言い方をすれば、既に竜巻が発生しているか、今すぐにでも発生しそうという状況を予測します。
▶ 段階
■ 発生確度2
◎ 竜巻などの激しい突風が発生する可能性があり注意が必要
◎ 適中率・・7~14%程度
◎ 捕捉率・・50~70%程度
◎ 発生確度2となっている地域に竜巻注意情報が発表される
※ 発生確度2は竜巻注意情報の発表に繋がることから、できるだけ絞り込んだ予測としている
■ 発生確度1
◎ 竜巻などの激しい突風が発生する可能性がある
◎ 適中率・・発生確度1以上の地域では1~7%程度 ⇒空振りが多い
◎ 捕捉率・・80%程度 ⇒見逃しが少ない
※ 発生確度1と2の違いは突風が発生する可能性の程度の違いを表現したもので、時間的な切迫度を示したものではありません。
▶ 解析方法
◇ ドップラーレーダー ⇒メソサイクロンの検出
『竜巻は直径が数十メートルから数百メートルしかなく、気象ドップラーレーダーで観測されるドップラー速度の解像度では検出できません。しかし、竜巻をもたらす発達した積乱雲の中には直径数キロメートルの大きさを持つ低気圧性の回転(メソサイクロン)が存在し、この大きさの渦は気象ドップラーレーダーで検出することができます。』(気象庁サイトから)
◇ 数値予報+レーダー ⇒突風危険指数
突風危険指数についての詳しい説明は気象庁のサイトをご覧ください。
5.竜巻注意情報
竜巻注意情報は竜巻、ダウンバーストなどの激しい突風に対して注意を呼びかける情報で、雷注意報を補足する情報として発表します。
▶ 発表のタイミング・・根拠が成立したらすぐに
▶ 有効期間・・約1時間
▶ 対象地域・・一次細分区分(例:愛知県東部)
▶ 注意内容・・積乱雲の下で発生する竜巻、ダウンバーストなどの激しい突風
▶ 発表根拠
◇ 竜巻発生確度ナウキャストで発生確度2が現れた地域が出た場合
◇ 目撃情報が得られて竜巻等が発生するおそれが高まったと判断した場合
以上になります。ナウキャストについては高解像度降水ナウキャストも併せて覚えておきたいですね。