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長期予報(季節予報)の概観

前回の記事で短期予報と中期予報について概観しました。

今回は長期予報(季節予報)についてまとめてみました。

1.季節予報の特徴

季節予報では府県天気予報や週間天気予報とは大きく異なる表現方法で予報を出しています。

主な特徴を挙げると以下の通りです。

▶ 予報期間が長い

 このことが次から挙げる特徴の基本となります。

▶ 予報範囲が広い

 日本を4地域に区分した全般季節予報と11地域に区分した地方季節予報があります。

▶ 大まかな天候を予報

 「晴れ」「雨」といった断定的な予報ではなく、「曇りや雨の日が多い」といったおおまかな天候を予報します。

▶ 平年値と比較して高い(多い)、低い(少ない)を確率で表現

 気温、日照時間、降水量、降雪量に関しては上記の方法で予報します。

以上を踏まえた上でさらに詳しく調べていきます。

2.季節予報の種類・発表・期間と内容

天気については大まかな天候を予報しています。

合計降雪量の予報は日本海側だけです。

2-1. 1か月予報

発表時翌々日からの1か月の予報です。

1か月を通しての予報に加え、1週目、2週目、3~4週目の予報もしています。

毎週木曜日14時30分に発表されます。

2-2. 3か月予報

発表月翌月から3か月の予報です。

3か月通しての予報に加えて1か月目、2か月目、3か月目の予報もしています。

原則、毎月25日以前の火曜日 14時に発表されます。

2-3. 暖候期予報

暖候期とは6月から8月の夏の季節のことです。

3か月予報と合わせて3月から8月の6か月間の天候が発表されています。

加えて梅雨時期の予報もあります。

原則、毎年2月25日以前の火曜日 14時に発表されます。

2-4. 寒候期予報

寒候期は12月から2月の冬の季節のことです。

3か月予報と合わせて10月から2月の5か月間の天候が発表されています。

原則、毎年9月25日以前の火曜日 14時に発表されます。

3.予報範囲

3-1. 全般季節予報

下の地図にあるように全国を北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美の4地域に区分しています。

さらに、降水量と日照時間に関しては北日本・東日本・西日本をさらに日本海側と太平洋側に分けて7地域に区分しています。

出典:気象庁ホームページ

3-2. 地方季節予報

下段の地図にあるように11地域に区分しています。

予報期間や天候の状況によっては太平洋側と日本海側など、さらに細かく区分する場合があります。

出典:気象庁ホームページ

4.確率的予測

4-1. 天気予報との違い

季節予報に用いられる予測方法はいわゆる天気予報とかなり異なっています。

季節予報では期間の平均的な天候が平年と比べて高い(多い)か低い(少ない)か平年並みかという3つの階級に当てはめ、それを確率を用いて表現しています。

気象庁ホームページの解説を基にした日本地図(上が天気予報、下が季節予報)と表をご覧ください。

出典:気象庁ホームページ

天気予報 季節予報
図例 上の日本地図 下の日本地図
手法 決定論的予測 確率的予測
表現例

「明日は晴れるでしょう。」

「明日の最高気温は25℃です。」

「今後1か月の気温が「高い」となる確率は50%です。」
特徴

予測期間が短い→不確実性が小さい

1週間後の日別の天気はある程度予測可能

予測期間が長い→不確実性が大きい

1か月後の日別の天気は予測不可能

地域区分 都道府県をさらに区分して予報 地方ごとにまとめて予報
出典:気象庁ホームページ
4-2. 3つの階級

季節予報では、期間ごとの気温や降水量などを平年より低い(少ない)、平年並、平年よりも高い(多い)の3つの階級に分けて予報します。

階級分けの手順は以下の通りです(下の図をご覧ください)。

◆ 過去30年間の値(現時点では1991年~2020年)を低い(少ない)順に並べる

◆ 低い方の10年の範囲を「低い(少ない)」とする

◆ 真ん中の10年の範囲を「平年並み」とする

◆ 高い方の10年を「高い(多い)」とする

◆ このようにして3つの階級それぞれの出現回数は等しく33%となる(これを気候的出現率という)

なお、「平年並」の範囲は地方や予報対象期間ごとに異なります。また、10年ごとに値が更新され、次回は2031年になると2001年~2030年の値に更新されます。

出典:気象庁ホームページ
4-3. 確率表現

季節予報は、予測する気温、降水量などを上記の3つの階級のうちのどの範囲に入るかを確率を使って予報します。 次の図をご覧ください。

出典:気象庁ホームページ

上記例では、北日本では1か月の平均気温が平年より低い確率が50%、平年並みである確率が40%、平年より高い確率が10%となっています。

この表現方法を地図に記したのが少し前に載せた日本地図です。

例えば、「北海道」の下に、20:30:50 と書かれています。

これは平年より低い確率が20%、平年並みの確率が30%、平年より高い確率が50%という意味です。

また、高いまたは低い確率の地域を色付けすることで一目で見やすいようになっています。

季節予報の概略は以上になります。

短期予報と長期予報の中間の位置に2週間気温情報と早期天候情報というのがあります。これらの説明はまた別の記事で扱います。