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短期間に急発達した猛烈な豆台風 2021年台風14号と房総半島台風、東日本台風を比べてみました

フィリピンの東海上沖で発生した台風14号は猛烈な勢力に発達しました。その暴風域を見て「小さっ!」と思いました。

さらに中心気圧は935hPa ・・猛烈な台風にしてはそれほど気圧が低くありません(後に905hPaになりましたが)。

小さいけど強い... 房総半島台風(2019年台風15号)と似ている

もう一つ、14号の特徴は短期間に急発達したということです。ここは東日本台風(2019年台風19号)と似ている。

ということで、2021年14号台風と2年前の房総半島台風、東日本台風を比べてみました。

1.短時間に急発達<東日本台風と似ている>

2つの台風とも短期間で急発達して猛烈な勢力になりました。次のグラフをご覧ください。

2019年台風19号(東日本台風)2日間弱で1000hPa から915hPa まで85hPa 気圧が下がり猛烈な台風に発達しました(青い線)。

2021年台風14号はやはり2日間で1000hPa から935hPa まで65hPa 気圧が下がり猛烈な台風に発達しました(赤い線)。

935hPa が最盛期かと思われていましたが、1日余り経ってさらに急発達し、18時間で935hPa から905hPa まで30hPa 気圧が下がりました。

ちなみに5000人以上の犠牲者を出した伊勢湾台風は24時間で91hPa 気圧が低下したということで、急激に発達する台風は要注意ですね。

2.コンパクトで強烈な勢力<房総半島台風と似ている>

2-1. 小さいから強い

2つの台風は大きさは小さくても勢力が強いという共通した特徴を持っています。

2019年台風15号(房総半島台風)はその名の通り、千葉県の房総半島で猛烈な暴風を吹かせ多くの家屋で屋根が飛ぶなどの被害をもたらしました。千葉市では最大瞬間風速57.5m/sを記録しました。

接近前、この台風には「コンパクトな台風」という表現が用いられていました。コンパクトという言葉で安心してしまった人もいるようでした。

「コンパクトだから気をつけてください」というのが本来の解釈だったでしょう。

小さいから強烈で急激に風雨が強まりますよ、というのはそのまま今回の台風14号にも当てはまるでしょう。

2021年9月10日放送のTBSテレビ「ひるおび」で気象予報士の森朗さんが、その当たりの説明を模型を使って説明していました。

大きなじょうろのような形のもの(じょうろにしておきましょう)を台風の気圧に見立てて、同じ気圧なら大きなじょうろより小さなじょうろの方が傾きが大きいのでボールが勢いよく穴に吸い込まれていく、つまり風が強いという実験でした。

上記のイメージ図は同じ仕組みを表現したものです。

2-2. 2つの台風の小ささ比べ

同日放送の「ひるおび」で気象予報士の森朗さんが2つの台風の大きさを図を使って比べていました。イメージ図はそれを参考にしたものです。見て分かるようにほぼ同じ大きさ(小ささ)です。

台風の大きさには大型と超大型があり、大型より小さい台風には大きさについての記述はありません。

でも、2000年以前には小型(小さい)やごく小さいという区分もあって、ごく小さいというのは強風域半径が200km未満の台風です。

台風14号の強風域は半径165kmですから完全に「ごく小さい」台風です。昔はこのくらいの台風は「豆台風」と呼ばれることもありました。

その後、14号はさらに発達して中心気圧が905hPa まで下がりましたが暴風半径は85km のまま変わりませんでした。

3.猛烈同士でこれだけ大きさが違う<東日本台風と比較>

再び東日本台風(2019年台風19号)と比べてみます。どちらも猛烈な勢力になりましたが、天気図を見ると大きさがあまりに違うのが一目で分かります。

台風にもいろいろ個性があって、それを解説する気象予報士にも個性があって、だから各局の天気情報番組をチェックするのもいいかもしれませんね。