冷たい雲から降る雨を冷たい雨といいます。
冷たい雲には0℃以下のところがあり、雲粒に氷晶という氷の粒が含まれています。
氷晶が成長して雪やあられとなり、溶けて雨となったのが冷たい雨です。
冷たい雲と冷たい雨がどうやってできるかは、とても複雑で学ぶことがたくさんあります。
いきなり細かいところまで理解しようとするのは大変なので、まずは全体を概観してみます。上のイメージ図から説明します。
1.雲粒の構成
1-1. 水滴と氷晶
冷たい雲は2種類の雲粒でできています。
水滴(液体)と氷晶(固体)です。水滴はさらに普通の水滴と過冷却水滴に分けられます。
普通の水滴は暖かい雲を構成する水滴と同じものです。
1-2. 過冷却水滴
水は氷点下になると凍るものですが、雲の中では気温が0℃を下回っても水滴は凍らずに水滴のままでいます。これを過冷却水滴といいます。
過冷却水滴は氷晶の生成と成長にとって大切な役割を果たしています。
1-3. 氷晶核
暖かい雲のところで学んだことですが、雲粒のもととなる水滴ができるためにはエアロゾルという空気中を漂う微粒子がが必要でした。
氷晶が生成されるのにも同様の小さな粒子が必要です。これを氷晶核といいます。
氷晶核には数種類のエアロゾルがありますが、小さな氷晶自身が他の氷晶を作るための氷晶核となる場合もあります。
1-4. 氷晶の生成
氷晶が生成される仕組みは幾つかあるのですが、詳細は別のところで扱いたいと思います。
氷晶の素になるのは水蒸気、ここに氷晶核、過冷却水滴の作用と気温の要素が加わって氷晶が作られます。
1-5. 温度別の雲粒の種類
大まかに区分すると以下の通りです。
◇ 0℃以上⇒水滴のみ
◇ 0℃ ~ -4℃ ⇒ 過冷却水滴のみ
◇ -4℃~-40℃ ⇒ 過冷却水滴と氷晶
◇ -40℃以下 ⇒ 氷晶のみ
2.冷たい雨の降水過程
氷晶が成長して雨・雪・あられ・雹として降って来る過程は大きく3種類あります。
2-1. 昇華凝結過程
この場合の昇華とは気体(水蒸気)から一気に固体(氷晶)に状態変化することを意味します。
昇華凝結過程とは氷晶が周囲の水蒸気を取り込むことで成長する仕組みをいいます。
詳細は別記事に書きますが、過冷却水滴と氷晶が共存していると、過冷却水滴から水蒸気がどんどん蒸発し、その水蒸気を氷晶が取り込んで氷晶が急成長するということです。
このようにして成長したものが雪で、雪が融けると雨になります。
2-2. ライミング
氷晶と過冷却水滴が接触すると、過冷却水滴は氷晶の周りを覆うように凝結します。この過程をライミングといいます。
こうしてできたのがあられや雹で、それが融けると大粒の雨となります。
2-3. 凝集過程
雪などの氷粒子の落下速度は大きさや形により違います。
すると、雪同士がくっついて大きくなったりします。こうして大きくなった雪の塊を雪片といいます。いわゆる牡丹雪です。
牡丹雪が融けると大きめの雨粒となります。
以上が冷たい雨についての概要です。これを頭に入れて今後さらに深く掘り下げていきます。