大型で非常に強い2019年台風19号(ハギビス)が迫って来ています。
今回は暴風・大雨に加えて高潮が生じる恐れがあると気象庁が注意を呼び掛けています。
高潮といえば昨年(2018年)の台風21号で大阪湾が観測史上最高潮位を記録し、関空島が水浸しになったことが思い浮かびますね。
今年の台風19号では駿河湾、相模湾、東京湾で高潮の恐れがあるということです(この記事を書いている2019/10/11 の時点での情報です)。
ただ、東京湾について言うと、台風が最も接近する12日深夜はちょうど干潮に当たります。
それでも高潮には警戒すべきだということを、気象予報士の森朗さんが昨日のTBSテレビ「ひるおび」の中で次のように解説していました。以下、私なりの理解を加えて解説を解説します。
1.ちょうど干潮
潮位予測グラフを見てください。青い線が本来の予想潮位です。(このグラフは気象庁のサイトにある資料をもとにしたものです。)
台風が接近しつつある12日(土曜日)の2回目の満潮は午後4時半頃です。
それから潮位が下がり午後10時半頃に干潮となり、その後、翌日明け方の4時半頃に再び満潮になります。
東京に台風が最も近づくのが12日から13日にかけての深夜と予想されています。ちょうど干潮と重なります。だから高潮の心配はない、と言いたいところですが、そうでもないそうです。次のイメージ図もご覧ください。
2.満潮状態が続く
この地図は南関東(東京湾と相模湾)における台風接近時の潮位を色分けしたものです。
地図の左側が台風最接近前の様子です。東京湾も相模湾も満潮(水色)になっています。
6時間後は干潮(ピンク色)になる時間帯です。このころが台風の最接近時です。
でも、なぜか東京湾だけは満潮のままです。そのことを最初のグラフの赤い線で表しました。
3.どうして高潮の危険があるのか
カギとなるのが東京湾の出入口にあたる浦賀水道です。時間軸にまとめました。
1 台風接近前に満潮になる(図の左側)
2 干潮に向けて東京湾の海水が浦賀水道を通って南側の外海に流れ出ようとする
3 ところが、台風に伴う強い南風によって海水の南下が妨げられる
4 加えて浦賀水道が狭いため海水の南下はますます難しくなり、東京湾は潮位が高いままの状態が続く(図の右側)
5 この状態で暴風と台風の吸い上げ効果によって高潮が発生する
どうでしょうか?この記事を書いた2日にはどうなったかが分かるでしょう。
高潮が生じると、大雨で増水した川の水が海に流れにくくなるので洪水の危険も高まります。
最近、気象庁の会見で「自分と大切な人の命を守るため」というフレーズをよく耳にしますが、決して大げさなものではありません。