台風の発達4 温低化(台風4)

最盛期を過ぎた台風は次第に衰えていき、いずれ2つの選択を迫られることになります。

熱帯低気圧に戻って余生を過ごすか、温帯低気圧として第2の人生(?)を選ぶか...です。

イメージ図の左側、7-1 は熱帯低気圧に格下げされるケース、右側、7-2 は温帯低気圧に生まれ変わるケースです。見たまんまなんですが、これでおしまい… では淋しいので、少し説明します。

図の上段は衰えていく時の衛星画像のイメージ、中段はその時の地上天気図、下段は台風でなくなった時の地上天気図です。

1.熱帯低気圧になる

台風が海面温度の低い海域に達したり上陸したりすると、多量の水蒸気の供給がなくなるので次第に衰弱していきます。

衰弱して中心付近の最大風速が17.2m/s 未満になると、熱帯低気圧になったことになります。台風も熱帯低気圧の一種ですから、低気圧としての性格はそのままです。暖気核も残っています。

あるいは前線を伴わない小さな低気圧になることもあります。

イメージ図で見ると衛星画像ではだいぶ形は崩れてきてはいますが、台風らしさは多少残っています。

次の温低化のところで出てきますが、衰弱して熱帯低気圧に戻るケースというのは、周囲に寒気がない場合、つまり秋よりも夏、緯度の高いところより低いところで生じることが多いです。

2.温低化(温帯低気圧に変わる)

こちらは風の強さは関係なく低気圧としての性質が変化する場合です。

図の右側を見てください。衛星画像で見ると台風らしい円形はほとんど見られず、温帯低気圧の形に近づいて来るのが分かります。

その頃の地上天気図では温暖前線と寒冷前線が台風の周囲に出来ているのが見られます。

温帯低気圧特有のこれらの前線は次第に台風の中心近くまで伸びて来て、温暖前線と寒冷前線が結びついた時点で温帯低気圧になるというのが典型的なパターンです。

温低化する過程は次の通りです。

● 台風の北上

● 台風の渦によって北側の寒気が引き寄せられる

● 台風が持ち込んだ暖気と北側の寒気がぶつかって前線ができる。

● 寒気によって台風の暖気核が消滅し、台風の性質を失う

● 温帯低気圧になる

3.温低化の特徴

このプロセスで分かるように温低化には風の強さは関係ありません。なので、台風が「衰弱して」温帯低気圧に変わるという表現がいいのかちょっと疑問はありますが...

かえって温帯低気圧に変わってから発達する場合もあります。中心気圧が950hPa 代にまで下がることもあります。例として、2018年の台風24号の場合を見てみます。

この台風の場合、九州の南に接近した時の中心気圧は950hPa、和歌山県上陸時は960hPa 、東北地方を抜けて温帯低気圧になった時は970hPa でした。

その後 発達してカムチャッカ半島沖に達した時の気圧は956hPa にまで下がりました。

また、台風の勢力が衰えてくると、かえって15m/s 以上の強風域が広がることがよくあります。温帯低気圧に変わるとさらに強い風の範囲が広がることがあります。

台風の風は中心に行くほど強くなりますが、温帯低気圧の場合はむしろ周辺部で強い風が吹くことが多いです。

温低化が生じやすいのは熱帯低気圧に変わる場合と逆で、夏よりも秋、緯度の低いところより高いところです。

ここまでで台風の発達メカニズムと台風の一生についてはひと段落付けます。

大概のテキストや台風関連の本には最初の方で台風の強さや大きさ、台風とハリケーンの違いについて等が載っていますが、気象好きの皆さんにはお馴染みでしょうから、その辺は飛ばしますね。

ということで、次回から台風の構造に入っていきます。雲の構造、温度構造、風の流れなど、絵を描いたり図にしたりが とっても難しそうで・・でも頑張りますので、お付き合いいただけたら嬉しいです。ではまた

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