台風の卵(熱帯低気圧)から赤ちゃん台風が生まれ、さらに大人へと成長するために一番大切なもの... やはり食べ物でしょう。食べてエネルギーを吸収しないと。
ということで、今回は台風の発達とエネルギーについて考えます。まずは前回の復習です。
1.熱帯低気圧発生まで
クラウドクラスター⇒
❶ 弱い渦運動
❷ 渦収束
❸ 上昇気流
❹ 積乱雲の発達
❺ 潜熱放出
❻ 中心の高温化
❼ 中心気圧の低下
⇒ 熱帯低気圧の発生
2.台風の発生
前々回、前回と同様イメージ図(台風の発達メカニズムNo.3)で解説します。今回も図の左側、右側と続きます。
熱帯低気圧が発達するに連れ、中心付近の気圧はより低く、地上風はより強く、上昇気流もより強くなり、暖気核はよりはっきりしてきます。
やがて中心付近の最大風速が17.2m/s 以上になると台風になります。図の左側は生まれたての台風です。
3.渦運動の強化(天気図)❽
熱帯低気圧が台風まで発達すると渦運動はさらに強くなります。
すると前回の記事の図(台風の発達メカニズムNo.2)の❷「渦収束」にフィードバックし、そこからまた❸→❹→❺→❻→❼→❽の順番に発展していきます。
さらに簡潔にまとめると、
渦運動
→→ 上昇気流
→→ 潜熱放出
→→ 気圧の低下
→→ 渦運動
という流れを繰り返すことによって台風は発達していくことが分かります。
やがて図の右側にあるように台風の目ができて最盛期へと成長していきます。
4.台風の発達メカニズム
このように、低気圧性循環と潜熱の影響の相乗効果を「第2種条件付不安定(CISK)」といいます。
第2種条件付不安定の説明の表現方法は各資料まちまちですが、2つだけ挙げておきます。
『低気圧性の風の流れと、積乱雲の潜熱の放出、2つの相乗効果で擾乱が発達していくメカニズムを「CISK(第2種条件付不安定)」と言います。』(「気象学のキホンがよ~くわかる本 第3版」より)
『個々の対流活動による上昇気流と、凝結時に放出される潜熱によって地表面で低い気圧が維持され、台風の発生・維持に密接に関わっている不安定性を第2種条件付不安定(CISK=シスク)といいます。』(「気象予報士かんたん合格テキスト 学科一般知識編」より)
結論として台風のエネルギー源は潜熱(凝結熱)であり、第2種条件付不安定(CISK)が台風の発達メカニズムであるといえます。
台風を含む熱帯低気圧のエネルギー源が潜熱であること、これが温帯低気圧との大きな違いです。熱帯低気圧と温帯低気圧の相違点は他にもいろいろあるので、その点は別の記事にする予定です。