夏を支配していた小笠原気団が疲れを感じ始めると、3つの気団が寄ってたかって小笠原気団を追い出しにかかります。3つの気団とは?
梅雨期と秋霖期(秋の長雨、秋雨)、どちらも4つの気団が関わっています。でも、その中身を調べてみると、若干の違いがあります。
以下、私の個人的な印象も含めて順に考えていきます。
1.小笠原気団(太平洋高気圧)
梅雨期と秋霖期どちらの季節でも必ず関わっているのが小笠原気団(太平洋高気圧)です。
これがいないと秋雨前線とは言わないでしょう(多分)。
2.オホーツク海気団(オホーツク海高気圧)
オホーツク海気団については基本的に梅雨期と秋霖期にしか現れません。そのためオホーツク海気団が秋霖期の代表のように説明されることも多いですが、実際にはそこまで登場しません。
3.揚子江気団(移動性高気圧)
梅雨期と比べて移動性高気圧の位置が北に偏っていることが多いように思えます。
その分涼しい空気を持っていることでしょう。
4.シベリア気団(シベリア高気圧)
季節が進むに連れて徐々に天気図に現れてきます。
この気団が関係するところが梅雨期と異なっています。
5.梅雨との違い
梅雨期の場合は関係する気団の種類は地域によって特徴がありました。
秋霖期の場合は地域というより、その時々によって代表する気団が入れ替わるという印象があります。
非常に大雑把な分類ですが、それぞれの気団(高気圧)は次の順番で現れる傾向があります。
● 前半:オホーツク海高気圧
● 全期間:移動性高気圧
● 後半:シベリア高気圧
いずれにしても涼しい空気が次第に南下して、季節は確実に夏から秋へと変わっていきます。
6.どれが正解?
秋霖期に現れる気団を4つ挙げましたが、梅雨期ほどはっきりしていません。
テキストや資料を調べても小笠原気団に対抗する高気圧としては、オホーツク海高気圧だと言うもの、移動性高気圧だと言うもの、シベリア高気圧だと言うもの、まちまちです。
どれが正解なんだろう?
正解は「涼しい気団」です。
暑い小笠原気団と戦うには相対的に涼しければいいようです。
確かにシベリア、オホーツク、揚子江、どれも太平洋に比べたら涼しそうですね。
上記のイメージ図では前線北側の3つの気団を一つの「涼しい気団」として水色でまとめました。
7.天気図から
気象庁のホームページから過去数年の秋雨前線の見られる日の天気図を調べてみました。
前線の北側にある高気圧については移動性高気圧が最も多かった印象があります。
下記は 2018年9月9日の天気図です。
秋雨の後半になるとシベリア方面からの高気圧が目立つようになります。下記は2017年10月10日の天気図です。
オホーツク海高気圧については、はっきり自信を持ってこれだと言えるものはありませんでした。オホーツク海高気圧がある時でも前線が見られなかったりしたので。
また、秋は本当に頻繁に台風がやって来て天気図が安定しないので、よけいに分かりづらいです。
この回で大規模な大気運動についてはおしまいです。次回から中・小規模の大気運動に入ります。より身近に感じる分野になりますね。楽しみです。