日本の季節には5つの気団が関わっています。季節は普通、春夏秋冬の4つですが、ここでは変形した分け方をしてみます。つまり、
< 冬>
< 春と秋 >
< 梅雨期と秋霖期 >
< 夏 >
< 台風期 >
の5つです。それぞれの季節に5つの気団が関係します。
前回の記事で気団の分類について取り上げました。記事の途中で日本に影響を及ぼす5つの気団のイメージ図を載せました。冒頭の図がそれです。(CraftMAPの地図を加工)
気団の性質はそのまま対応する高気圧の特徴に現れています。赤道気団だけは低気圧(台風など)が対応します。
これから5つの気団と対応する高気圧・低気圧について季節ごとに調べていきます。
<A 冬… シベリア気団(シベリア高気圧)>
冬のシベリアは太陽高度が低く日照時間が少ないまま放射冷却を繰り返すため気温が非常に低くなります。冷えた空気は重いため下降気流となって地上に高気圧が生じます。
このようにして出来た寒冷高気圧は背の低い高気圧になります。
また水蒸気の少ない大陸で発生するため、この高気圧は乾燥した空気を持っています。
冬になるとシベリア高気圧から日本の東にある低気圧に向けて冷たく乾いた北西の風が吹きます。いわゆる『西高東低・冬型の気圧配置』になります。
本来乾燥した風ですが、比較的暖かい日本海を通る際に海から熱と水蒸気を補給したまま日本列島の背骨のような山脈にぶつかって強制的に上昇し、日本海側に雪を降らせます。
雪雲は山を越えることができないため、太平洋側では乾燥したからっ風が吹くようになります。
このように陸面や海面の影響を受けて気団の性質が変わることを気団変質と言います。
< B 春・秋… 揚子江(長江)気団(移動性高気圧)>
この気団は比較的南側にあるため温暖で、大陸にあるため乾燥しています。また、幾つかのテキストでは揚子江気団はシベリア気団が南下して温暖化したものとして説明されています。
春になりシベリア気団の北上と共に、南下していた亜熱帯ジェット気流が北上してきます。
揚子江気団のあるあたりで発生した、または移動してきた高気圧はこのジェット気流に乗って東進し、移動性高気圧として日本付近を通過します。揚子江気団の性質を受け継いでいる高気圧が春の爽やかで穏やかな晴天をもたらします。
太平洋高気圧が退いた後の秋も(特に秋の長雨の後は)同様に揚子江気団からの移動性高気圧によって爽やかな秋晴れがもたらされます。
さて、冬と春・秋が済んだところで、次は梅雨期と秋霖期に入ります。これはちょっと込み入っています。簡単に言ってしまえば小笠原気団(太平洋高気圧)とオホーツク海気団(オホーツク海高気圧)のせめぎ合いで生じる訳ですが、オホーツク海気団が弱かったり赤道気団が出てきたり、ということもあるので、次回につなげますね。