前回の記事で最後に挙げましたが、温度風は温度移流を知るのに役立ちます。
温度移流とは「風によって温度の異なる空気が移流すること」(「気象予報士かんたん合格テキスト」)です。
1.ホドグラフとは
それを知るのにホドグラフというものを使います。
ホドグラフとは・・「変動するベクトルを1つの原点を起点として書くとき,変動に伴ってベクトルの終点が描く曲線。」(コトバンクによるブリタニカ国際大百科事典の解説から)
理解できたような、そうでもないような、でも前回までのブログで使っていたベクトル図をここでも使えば大丈夫です。
では本論に行きますが、地衡風と温度風の位置関係によって温度移流を知ることができます。
2.寒気移流の場合
前回載せた上記の図の場合、地衡風は下層でも上層でも低温側から高温側に向かって吹いています。この場合寒気移流となります。
上記図に等温線を書き足すと次の図になります。
地衡風が等温線を横切って低温側から高温側に向かっていることが分かります。
さらに地衡風ベクトルは下層から上層に向かって反時計回り(逆転)に変化しています。下記はそのイメージです。
3.暖気移流の場合
次のベクトル図は暖気移流の時のパターンです。
地衡風は下層でも上層でも高温側から低温側に向かって吹いています。
さらに下記の図で分かるように、地衡風ベクトルは下層から上層に向かって時計回り(順転)に変化しています。
4.温度移流なし
下記の図のケースでは地衡風は下層でも上層でも同じ向きに吹いています。
速度の差はあるので温度風は生じます。
でも、地衡風は下層でも上層でも等温線を横切ることはないので、低温側と高温側とで風のやり取りはなく温度移流は0になります。
このようにして高層天気図から寒気・暖気の動きを知ることができます。
温度風については ひとまず ここまでにして、次回から発散、収束、渦度について考えていきます。