下層と上層とで地衡風の強さと向きが違うのは、温度分布(温度場)が地衡風に及ぼす影響力が下層では弱く上層では強いからです。
前回に引き続きイメージ図を使って順を追って説明します。数字の意味については前回の記事を参照してください。
1.温度⇒層厚⇒高度
前回の記事で温度の違いはあるものの、気圧は一定である下層の任意の平面を考慮しました。
これを鉛直方向に直したのが次の図です。
●下部の赤い数字は温度の高低を表しています。右が高温側、左が低温側です。
●下層(例えば700hPa面)において高度の違いはないものとします。表記していませんが、図 No.2-2 の1がその高度です。
●温度が高いほど層厚が厚くなります。
●すると上層の一定気圧面(例えば 300hPa面 )では層厚の厚さに応じた高度の違いが生じます。
例えば温度が4のところでは高度が4プラスされます。温度が1のところでは1プラスされます。
●整理すると・・
温度が高い
⇒層厚が厚い
⇒上層では高度が高い
2.気圧場+温度場⇒高度上昇
これらを踏まえた上で、前回 記事の最後に載せた図をもう一度見てください。
この図は気圧の違い(気圧場)、温度の違い(温度場)両方がある下層の高層天気図をイメージしたものです。
この図の赤い数字は温度を、青い数字は高度(気圧)を便宜的に表現したものです。そして赤の数字だけ高度が増すことを表記すると下記のようになります。
もともとあった高度(青の数字)の横に高度の上昇(水色の数字)を記しました。
そして数字を合計すると次の図のようになります。
3.上層の地衡風
この図から下層の等高度線と等温線を消すと次の図になります。
数字が一列に並んでいますが、違う数字の間に線を引くと、これが上層の等高度線となります。
下層に比べると線の本数が多いことがわかります。それだけ気圧傾度が大きいということになります。
そうすると上層における地衡風の向きと強さが分かります。
これで前回の記事に挙げた下層の地衡風とこの上層の地衡風を比べれば温度風が分かります。
それは次回に。