地球レベルで考えると地衡風は上空に行くほど強くなります。それが温度風の関係です。
今回は高度と地衡風の強さの関連そして偏西風について取り上げます。
1.先回のまとめ
2018/07/21の記事「層厚(そして温度風の関係)」では次の流れを取り上げました。それは
緯度⇒気温⇒層厚⇒気圧傾度 というものです。(下の図を参照)
これを水平方向の軸と垂直方向の軸に分けてみると次のようにまとめることができます。
水平方向:緯度⇒平均気温⇒層厚の厚さ
垂直方向:高度
水平方向+垂直方向:気圧傾度
2.温度風の関係
今回は「気圧傾度⇒地衡風」について考えます。
先回少し取り上げましたが、温度風の関係とはざっくり言うと、上空ほど地衡風が強く吹く、ということですその点を下の図から説明します。
◎(矢印):地上のある地点(Aとします)の上空に吹く地衡風を表しています。矢印の長さが風の強さだと思ってください。
◎(左下):A上空700hPa地点では南北(北半球の場合)の気圧差が小さいので地衡風もあまり強く吹きません。
◎(右下):もう少し高いところ500hPa地点では南北の気圧差がやや大きくなり地衡風もやや強く吹きます。
◎(上):さらに高いところ300hPa地点では南北の気圧差がかなり大きくなり、それに伴って地衡風がかなり強く吹くようになります。
3.地衡風の向き
ところで地球規模で吹く地衡風に決まった向きがあるのでしょうか?
3-1. 北半球(中緯度)では・・
地衡風は気圧傾度力により生じた風がコリオリ力によって右向きに変えられ、等圧線と平衡に吹くようになった風です。
ですから地衡風は気圧の高い方を右に見て吹きます。
図に当てはめると気圧の高い南を右手にして吹くので、西から東に向かって吹くと理解できます。
この西風を偏西風といいます。
3-2. 南半球(中緯度)では・・
図の南北を逆にして考えてください。矢印の向きも反対になります。
地衡風は気圧傾度力により生じた風がコリオリ力によって左向きに変えられ、等圧線と平衡に吹くようになった風です。
ですから地衡風は気圧の高い方を左に見て吹きます。
気圧の高い北を左手にして吹くので、西から東に向かって吹くと理解できます。
南半球でもこの西風を偏西風といいます。
ですから北半球でも南半球でも上空では強い西風、偏西風が吹いているのが理解できます。
ジェット気流も偏西風と関連がありますが、別の機会に取り上げたいと思います。
また、今回は中緯度に限定しましたが、高緯度、低緯度については別の要素があるので、これらについても別の機会に取り上げます。