今回からメソスケールの個々の現象に入っていきます。まずはベナール型対流です。
ベナール型対流による現象としては ~積雲、蜂の巣状雲、筋状の雲などがよく挙げられます。
今回はベナール型対流の仕組みと ~積雲 に関するものを取り上げます。~積雲はメソスケールより小さなミクロスケールの範囲ですが、理屈が共通しているので記事にします。
1.熱の伝達
ベナール型対流を取り上げる前に、そもそも「対流」とは何なのでしょうか?難しい定義はスルーしますが、熱を伝える方法の一つです。
上記の図を見てください。熱の伝達方法は3種類あります(図の上半分)。
A 放射・・『放射とは電磁波によるエネルギーの伝達(「気象予報士かんたん合格テキスト」)
身近なところでは、太陽の光に当たると暖かくなるという場合に当てはまりますね。
B 伝導・・物質を通して熱が伝わること
熱い紅茶に金属のスプーンを入れておいて そのままにしておくと、スプーンの柄の部分も熱くなるのは伝導によるものです。
C 対流・・空気や液体などの流れによって熱が伝わること
鍋に火をかけると次第にお湯が上がってくるところと沈んでいくところができて上下に回転している様子が分かります。この動きによって鍋の底の熱が全体に伝わっていきます。
「一般気象学」では「気象学では局所的に高温な大気の部分が浮力によって鉛直上方に移動する運動を対流とよんでいる」と説明されています。
2.ベナール型対流
ベナール型対流は「層の両面に一様な温度差をつくったときに、小さな対流がたくさん現れる現象」(「図解気象学入門」)です。
この現象が現れる仕組みを説明します。(「気象予報士かんたん合格テキスト」を参考)
1) 粘性のある流体層(空気、雲など)を下部から加熱して上部から冷却する
2) 上部と下部の温度差が小さいとき・・下部から上部へ熱が伝導によって運ばれる
3) 温度差が次第に大きくなる
4) 温度差がある臨界値を超える・・流体層が蜂の巣のようなセル状となり、上昇流と下降流の分離が規則的にお起きる
この現象がベナール型対流です。
3.~積雲の生じる仕組み
ベナール型対流によって生じる現象は冬季の筋状の雲の他に、十種雲形のところで出てきた「~積雲」にも現れます。その仕組みをイメージ図の下半分に示しました。
1) 層状雲(図の左下)
層状雲の下方には暖かい空気があります。反対に上方には冷たい空気があります。この温度差が生じる理由には太陽放射、地球放射のやり取りが関係しています。ここでは取り上げませんが、「図解 気象学入門(講談社)」の3章で詳しく解説されています。
2) ベナール型対流
層状雲の上下の温度差がある程度大きくなると、小さな対流がたくさん現れます。
3) ~積雲の発生
対流により上昇気流のところでは雲があり、下降気流のところでは雲は消滅して、小さな雲の塊が層状に広がります。これが巻積雲、高積雲発生の仕組みです。
4) 蜂の巣状雲
巻積雲や高積雲(まれに層積雲)には蜂の巣の形をした雲が見られることがあります。
ずっと大きなスケールの蜂の巣状雲は、冬型の気圧配置の時の衛星画像で筋状の雲と共に見られることがあります。次回はメソスケールにおけるベナール型対流と蜂の巣状雲について調べます。お楽しみに 🙂