4つの気団が押し合って日本の梅雨を作り上げています。
ただ、そのうちの1つは(前回の記事にある)5つの気団とは別のもの、熱帯モンスーン気団です。
5つの気団とは、シベリア気団、オホーツク海気団、揚子江(長江)気団、小笠原気団、赤道気団 です。
前回は < A 冬… シベリア気団>と < B 春・秋… 揚子江気団 > を取り上げました。今回はもう一つの季節 < C 梅雨期と秋霖期(秋雨)> に関わる気団について考えます。
< C 梅雨期・秋霖期 オホーツク海気団(オホーツク海高気圧)>
1.単純ではなさそう
この時期に登場する気団と言えばオホーツク海気団です。オホーツク海気団がどのようにして生じるのかは次回に回します。
まずは梅雨・秋雨の仕組みと関連する気団について取り上げますが、梅雨と秋雨は似ているようで結構別物だったりするので、今回は梅雨に絞って考えます。秋雨についても近いうちに取り上げます。
天気解説などでは梅雨前線はオホーツク海高気圧と太平洋高気圧のせめぎ合いで生じると言われています。
でも実際のところ、オホーツク海高気圧がなくても梅雨は続きますし、東日本と西日本とでは雨の降り方が違うとよく言われます。
それは日本列島の梅雨には4つの気団が関係しているせいです。
2.梅雨のタイプは4つある
まずはイメージ図をご覧ください。これは日本列島に中国大陸南部を加えて4つの気団が梅雨前線にどう影響を及ぼしているかを説明したものです。
紺色の線が梅雨前線です。矢印は各気団からの空気の流れ(風)です。中国を含めた4つの地域を緑の円で示しました。これは地域ごとにタイプの違う梅雨があるということです。つまり4種類の梅雨です。
また、4つの気団の性質をまとめると次の通りになります。
湿度
A 乾燥・・揚子江気団
B 湿潤・・オホーツク海気団、小笠原気団、熱帯モンスーン気団
温度
a) 低温・・オホーツク海気団
b) 高温・・揚子江気団、小笠原気団、熱帯モンスーン気団
このグループ分けが梅雨の性質の違いを生み出します。では、早速 図の左(西)から始めます。
3.中国大陸南部
【熱帯モンスーン気団 VS 揚子江気団】
熱帯モンスーン気団は日本の季節を作る5つの気団には含まれていません。でも南西諸島、時には本土に影響を及ぼすことがあります。
まず熱帯モンスーン気団とはどんなものか、Wikipediaから引用します。
「インドシナ半島、南シナ海から南西諸島近海にかけての 地域に存在。暖かく非常に湿った海洋性の気団。インド洋の海洋性気団の影響を強く受けている。」
中国大陸南部では熱帯モンスーン気団と揚子江気団のせめぎ合いで梅雨前線が発生します。
この仕組みでできる梅雨前線は主に温度差より湿度の差によって生じます。乾燥した揚子江気団と湿潤な熱帯モンスーン気団という性質の違う大気によって生じるということです。
4.南西諸島
【熱帯モンスーン気団 VS 揚子江気団 VS 小笠原気団】
中国大陸南部と同じ仕組みに加えて小笠原気団(太平洋高気圧)からの暖かく湿った空気が流れ込みます。
5.西日本
【揚子江気団 VS 小笠原気団】
熱帯モンスーン気団からは離れ、揚子江気団と小笠原気団(太平洋高気圧)のはざまで前線が生じます。このケースも温度差より湿度の差が目立ちます。
西日本の梅雨は陽性の梅雨になる傾向があります。
6.東日本
【オホーツク海気団 VS 小笠原気団】
冷たく湿ったオホーツク海高気圧からの北東風と暖かく湿った太平洋高気圧からの風がぶつかり合って前線が形成されます。ですから湿度の差ではなく温度の差が要因となります。
東日本の梅雨は陰性の梅雨になる傾向があります。
西日本と東日本の違いを述べましたが、これは厳密な区別がされているわけではありません。あくまで、そういう傾向があるという程度です。
以上が4つの気団による4タイプの梅雨の説明です。関連するこちらの記事もご覧ください。
⇒ 「梅雨の仕組みは二つある」
次回はオホーツク海高気圧発生の仕組みについて調べます。