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帯状+渦で偏西風波動(傾圧不安定波5)

直線+円=曲線 または 帯は渦に巻き込まれると波打つ、というのが偏西風波動の意味です。

今回も前回に続き傾圧不安定波をエネルギーの観点から見ていきます。

 ※偏西風波動または偏西風蛇行と傾圧不安定波はイコールではありませんが、ここではおおよそ同じ現象として扱います。

最初に前回挙げた表をもう一度ご覧ください。

傾圧不安定波とエネルギー(表)

1.エネルギーのタイプ

前回の要点は傾圧不安定波に係わるエネルギーは次のようにタイプ分けできるということでした。

A 図の列

1.運動エネルギー

2.位置エネルギー

3.有効位置エネルギー → 運動エネルギー

B 図の行

1.帯状エネルギー

2.渦エネルギー

3.帯状エネルギー + 渦エネルギー

今回取り上げるのは3.のタイプです。つまり、帯状エネルギーと渦エネルギーが合体するとどうなるか、という点です。

2.波動(傾圧不安定波)

帯状+渦についても運動エネルギー、位置エネルギー、位置エネルギー→運動エネルギー に分けて考えます。

まずは運動エネルギーの観点で見てみると偏西風波動(傾圧不安定波)が生じるのが分かります(オレンジの矢印)。

このように波打ちます。直線+円=曲線 という感じですね。蛇行する偏西風がこれに相当します(図の上が北、下が南です)。

こうなる仕組みは前回の記事に載せた図を合わせれば分かると思います。

復習になりますが、まず帯状運動エネルギーのイメージはこのようなものです。

そして渦エネルギーは

この二つを合体させたものが蛇行する偏西風の形になります。傾圧不安定波はこれに該当します。

3.傾圧不安定波と地上の高気圧・低気圧

偏西風の場合、南側が高圧部、北側が低圧部となっています(北半球)。

波が北側に膨らんでいるところは周りより気圧が高いので気圧の尾根、南側に膨らんでいるところは、その逆で気圧の谷となります。

気圧の尾根には時計回りの高気圧性の風が隠れています。地上ではこの渦が姿を現し移動性高気圧が見られます。

気圧の谷には反時計回りの低気圧性の風が隠れています。地上ではこの渦が姿を現し温帯低気圧が見られます。

この様子を立体的に表現したイメージ図は過去の記事「偏西風、低気圧に寄り道(傾圧不安定波1)」にありますので、良かったら見てください。

帯状エネルギーと渦エネルギーが合体したものについては、位置エネルギーの観点から、さらには有効位置エネルギーが運動エネルギーに変換される場合について取り上げる必要がありますが、次回以降にしますね。お互い頑張りましょう 🙂